2016 Fiscal Year Research-status Report
Challenge to highly-efficient ultra-precision machining for next-generation optical element by assisting optical resonance
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16K14137
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柿沼 康弘 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70407146)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超精密加工 / 光援用加工 / 近接場 / 光学材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では光共振現象を援用した光学素子の超精密加工法の開発に取り組み,従来の硬脆材料加工をより高精度かつ高能率にすることを目的としている. 平成28年度は当初の計画通り,①蛍石内に光共振現象を起こしながら機械加工を行う実験系の開発,②本実験系に応用する予定のサファイアの機械的特性評価・クラック発生メカニズムの解析に取り組んだ.当初提案したファブリ―ペロー共振を応用した実験系において被削材内での光吸収エネルギーを計算したところ,ミラーでの反射によって,有効吸収率が10%にも満たないため,光共振現象を機械加工の援用手法として有効活用できないことを明らかにした.そこで,本研究では実験系を改良し,近接場を応用して微小径工具先端に高い光エネルギー場を作り出し,レーザアブレーションと機械加工を同時に作用させる新たな加工法へ展開を図った.具体的には,光学材料表面に発生させた近接場に微小工具を近づけ,光エネルギーを工具先端に集中させることで,アブレーションを生じさせながら切削加工を行うメカニズムである.本提案手法を実現するために,光学系および実験系を設計し,製作に取り組んでいる. また,2年目に予定している単結晶サファイアの光援用加工に関する基礎データを収集するため,超精密加工における加工特性解析を実施した.サファイアの様々な結晶面に対して,切込みを徐々に深くしていく二次元切削を行い,マイクロクラックの生じない延性モード切削から亀裂を生じながら加工する脆性モード切削へ遷移する臨界切込み深さの評価を行った.光援用を行わない場合,臨界切込み深さは200nmから400nmであることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた光学系による機械的特性評価・クラック発生メカニズム解明が実施できなかったことが理由である.予定していた光共振系では光エネルギーを効率的に被削材に吸収させることが難しいことがわかった.そのため,光共振ではなく,近接場光を援用してする実験系を構築する計画に変更した.具体的には,被削材表面に近接場光が発生するような機構を開発する.このためにはプリズムを設置して,全反射条件を満たすように光を照射する必要があり,この装置の設計にかなりの時間を要したが,現在設計は完了し,製作に移っている.平成29年度の前半で近接場光援用による機械的特性評価を行う計画で,この遅れは取り戻すことが可能である.この点を除けば,概ね順調に研究は進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,近接場光による,局所的な光エネルギー増大効果を駆使して,近接場光が機械特性・機械加工に及ぼす影響を明らかにする. 近接場光援用下での機械加工装置は,6月末に完成する予定で,これを用いて,機械的特性評価・切削加工による加工実験を行い,近接場光援用による蛍石の機械加工の高精度・高能率化に対する有効性を調べる.また,これをサファイアに対しても応用し,光学材料における本手法の拡張性を検討する.具体的には,クラックが発生する臨界押込み深さ,臨界切込み深さが増大するかを調べる.
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Research Products
(2 results)