2016 Fiscal Year Research-status Report
摺動部品の信頼性向上を目的とした低環境負荷新規グリースの開発
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16K14139
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
七尾 英孝 岩手大学, 理工学部, 助教 (50312509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 有機修飾粘土グリース |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度の当初計画は「新規潤滑グリースの構成成分である増稠剤の調製」であった.本件申請書にも記した通り,当グループに調製のノウハウがないため情報収集から始めた. その結果,レシチンで有機修飾した松根原土の調製に成功した.具体的な手順としては,1)超音波処理を施したレシチンのエタノール溶液に松根原土を投入後,塩酸のエタノール溶液でpH2から3に調整し,24時間室温で撹拌する.その後2)濾過で固液分離し,エタノールで洗浄,凍結乾燥をかけ,レシチン修飾松根原土を得ることができた.生成したレシチン松根原土の構造解析を行ったところ,赤外分光により松根原土にみられた層間水および吸着水由来のOH伸縮振動の強度減少およびレシチン由来のCH伸縮振動が確認され,一方X線回折では松根原土の面間隔値に変化が見られなかった.以上の結果から,今回合成したレシチン修飾松根原土は松根原土表面にレシチンが吸着したものであることがわかった. このような構造を持つ増稠剤は,グリース調製の際,基油となる潤滑油との相溶性に優れ非常に好都合である.早速モデル基油として代表的な二種類の潤滑油(ポリアルファオレフィンおよびポリオールエステル)へのレシチン修飾松根原土の溶解,グリースの調製を試みた.それぞれの基油においてレシチン修飾松根原土は分散したが,ポリオールエステルに溶解させたものは24時間の静置後,レシチン修飾松根原土が分離・沈降した.よって潤滑試験に採用するグリースには基油がポリアルファオレフィンのものとした.これに29年度以降の実際の潤滑試験後の表面分析の際に必要となる重水素化ノルマルヘキサンを必要量溶解させたが,特にグリースへの影響は見られなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回調整できたグリースは,増稠剤および基油が各1種類のものしか準備できていないが,当初目的は増稠剤の調製までだったため,グリースの調製までたどり着いたことは評価されるものと思われる.また増稠剤である粘土の種類展開に関しては,28年度に国立研究開発法人産業技術総合研究所化学プロセス研究部門機能素材プロセッシンググループが事務局となっている「Clayteam」に参加させていただいており,今後において十分対応できるものと思っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,潤滑試験を行っていく上で,グリースを用いた潤滑実験に関して経験の少ない申請者にとって,その条件出しが非常に重要なポイントであると思われる.これまで申請者が行ってきた潤滑油(いわゆる液体)と異なり,半固体状のグリースはその乏しい流動性のため,潤滑場への供給がされにくいものと思われる.この影響が出ないよう,潤滑条件の選定およびグリースの粘度(稠度)を適宜検討していかなければならない状況が想定される.粘度に関しては基本的に基油濃度を上げることで対応可能と思われるが,基油と増稠剤の分離に注意する必要がある.
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Causes of Carryover |
計画で物品費のほとんどを占めていた遠心分離機の購入を必要としない試料調製で済んだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度で上記遠心分離機を購入予定である.その他,潤滑試験結果が得られた時点で研究成果として発表が可能であるため学会出張費としての旅費に充当する予定である.
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