2018 Fiscal Year Research-status Report
摺動部品の信頼性向上を目的とした低環境負荷新規グリースの開発
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16K14139
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
七尾 英孝 岩手大学, 理工学部, 准教授 (50312509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有機修飾粘土グリース |
Outline of Annual Research Achievements |
目標とする効果(高い潤滑性と,鋼材の脆化を促進する潤滑油分解により生じた水素へのバリア効果)の得られるグリースに適した有機修飾粘土を発見したのが昨年度の実績であり,今年度はその有機修飾粘土以上の効果を発揮する粘土を探索することが目的であった.しかし,新規粘土探索の過程において,実績のあった有機修飾粘土の効果の再現に疑問が生じてきた.有機修飾粘土が摩擦面において潤滑性の皮膜を形成することが,高い潤滑性を発揮し,なおかつ潤滑油の分解によって発生した水素の鋼材への侵入を防ぐと考えていたが,前述の潤滑性の再現性においてばらつきが非常に大きい結果が得られるようになったためである(水素へのバリア効果に関しては,その測定自体がコストのかかるものであるため,潤滑性にばらつきがある状態のサンプルを測定することはしなかった). この原因を追求することに注力せざるを得ない状況となり,グリースの原料である基油と有機修飾粘土の混合法に関する調査を開始した.同様の手順で同種のグリースを複数調製,また条件を変えた異種のグリースを調製し,その潤滑性を比較したが混合法に潤滑性のばらつきの原因を見いだすことはできなかった.ここまで用いてきた有機修飾粘土は全て同ロットであったが,念のためにX線回折にかけたところ,粘土の不純物としてオパールの微粒子が混在していることがわかった.目標とする効果が得られていた時期の有機修飾粘土にもオパールは含まれていたが,その含有率に多少の違いを見いだすことができた. 以上のように,今年度は研究自体の進捗はほぼなかったが,これまで得られていた実績に関する足固めのための手がかりを掴むことができたので,次年度はこれまでに得られた実績を確たるものとすることを目的とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで得られていた実績が,限られた状態でのみ得られるものであるという可能性が生じてしまったため,これまで予想していなかった条件に関して検討していかなくてはならない状況となってしまったため.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で目的としているのは,潤滑特性に優れ,摩擦材料の長寿命化にも寄与するグリースに配合する有機修飾粘土の探索とそのメカニズムの解明であるが,「探索」の優先順位を下げ,現在効果を発揮している有機修飾粘土を用いたグリースの,その効果発現のメカニズムを追うことに注力していく.更に効果の高い有機修飾粘土を追求するための足場固めというスタンスで研究を進める.
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Causes of Carryover |
本来本年度終了の研究であったが,進捗が芳しくなく研究機関の延長を申請したため.次年度の使用計画としては,分析にかかる費用と研究成果発表のための旅費として使用する予定である.
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