2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14173
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮崎 隆彦 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70420289)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 吸着 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,吸着剤によるガスの吸着・脱着現象によって作り出される圧力差を利用し,100℃未満の低温排熱から動力を回収する新しい技術の開発を目的としている.今年度は,吸着・脱着に伴う吸着剤充填容器内の圧力変動を予測するためのシミュレーションモデルを構築し,過去の実験データと比較を行った.従来,吸着式ヒートポンプなどの機器のシミュレーションでは,温度と吸着量に関して集中容量法のモデル化がなされるが,容器内圧力は蒸発器,凝縮器の冷媒液温度の飽和蒸気として近似される場合が多い.しかし,吸着式エンジンのコンセプトは,吸着・脱着による吸着質ガスの圧力変動から仕事を取り出すサイクルであるため,各種吸着剤-吸着質の組み合わせによる吸着式エンジンの可能性を検討するためには,吸着器内圧力を正確に予測することが必要である.そこで今年度は,従来の集中容量法モデルを基礎に,容器内の吸着質ガスについて温度及び圧力を計算するシミュレーションモデルを構築し,過去の実験データとの比較によってシミュレーションモデルの妥当性を検証した. 凝縮性ガスを冷媒に用いる吸着式ヒートポンプなどでは,脱着時に吸着器内の圧力が高くなると脱着した蒸気が吸着器内で凝縮する可能性が高まることが,これまでの研究結果からわかっている.そこで,圧力計算を追加した集中容量法によるモデルに凝縮項を追加し,実験結果との比較によって物質移動のパラメータを同定した.次年度以降は,同シミュレーションを用いて吸着器内圧力変化を予測し,各種吸着剤-吸着質の組み合わせについて特性を把握する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案するシステムの実現性を検討するために必要なシミュレーションモデルを構築することができた.一方で,実験による動作原理確認については,仕様の変更等を検討したために準備が遅れ気味である.そのため,H29年度は,実験を中心にすすめる.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,吸着・脱着現象による圧力変動を計測すること,また,圧力変化から動力を回収する方法の実証を目的に,実験装置を組み立て基礎データを取得する.予算の削減に対応するため,実験方法を再考し,装置の設計変更を行った.H29年度中に実験装置を組み立て,動作原理の実証を目指す.
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Causes of Carryover |
予算削減に伴い実験計画の変更が必要になったため,実験装置の設計をし直した.そのため,H28年度に購入する予定であった実験関連の消耗品等を購入をH29年度に繰り越した.実験そのものは当初からH29年度に開始する予定であり,より簡便な実験装置によって原理の実証を実施することにしたので,研究計画に支障はない.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置の部材,消耗品などを購入する.
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