2016 Fiscal Year Research-status Report
透過型電子顕微鏡による気液相変化のナノスケール直接観察
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16K14174
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高橋 厚史 九州大学, 工学研究院, 教授 (10243924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 竜也 九州大学, 工学研究院, 技術専門職員 (70532331)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノマイクロ熱工学 / ナノバブル / 透過型電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
透過型電子顕微鏡を用いてナノスケールで気泡発生のメカニズムを調べる実験研究を行った。そのための超高真空用液体セルとして、一般に販売されている窒化ケイ素のメンブレンが設けられたシリコン基板を2枚張り合わせ、隙間に純水を侵入させた状態でエポキシ樹脂で周囲を埋めてTEM用試料を自作した。2枚のメンブレンは600nm程度のギャップで平行に維持され、その間の空間は純水と大気で満たされた。この大気は純水中の気泡の発生による圧力上昇を緩和する効果があることもわかった。これをTEM内で観察したところ、電子線照射が気泡の発生を引き起こし直径10nm以下の気泡を観察することができた。特に、気泡の界面の観察で生じるフレネルフリンジがTEMの焦点とのずれに応じて変化することに気づき、それを用いて気泡の発生場所をナノスケールで特定することに成功したことは特筆すべき成果と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではTEM用液体試料セルに白金薄膜のマイクロ温度センサを組み込んで時系列の温度情報を得る予定であったが、セルに用いる厚さ50nmのメンブレンに薄膜センサを形成することはメンブレンの耐久性の低さから非常に難しいことがわかった。この想定外の状況には遭遇したものの、それ以上に新規に得られた成果は大きく、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
温度センサを組み込む計画は中止して、化学的に水分子が分解して発生する水素気泡の様子を詳しく調べることでナノスケールの相変化の理解につなげる。TEM用液体試料セルの表面の濡れ性を局所的に変化させて相変化への影響を調べる。それらの実験の基礎となるのは初年度に見出したフレネルフリンジ法であり、その定量的な利用についても探究していく。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではTEM用液体試料セルに白金薄膜のマイクロ温度センサを組み込んで時系列の温度情報を得る予定であったが、セルに用いる厚さ50nmのメンブレンに薄膜センサを形成することはメンブレンの耐久性の低さから非常に難しいことがわかった。そのため使用額が計画よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マイクロ温度センサの組み込みの代わりに表面に濡れ性の変化をつける実験を次年度に多く行うこととする。そのためにはFIB装置による局所堆積技術を用いる予定で、その費用および装置の保守費に使用する。
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Research Products
(5 results)