2016 Fiscal Year Research-status Report
石炭燃焼から発生する微小粒子状物質(PM)の粗大化に関する研究
Project/Area Number |
16K14178
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
二宮 善彦 中部大学, 工学部, 教授 (10164633)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 石炭燃焼 / 微小粒子状物質 / 低品位炭 / 流通式燃焼装置 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、PM2.5など微小粒子状物質による健康影響が、我が国をはじめ、中国やインドなど石炭を大量に消費する国々において問題となっている。微小粒子状物質は、偏西風などの大気の流れによって長距離輸送されるため 、周辺諸国の大気環境にも影響する重大な問題であり、石炭燃焼から排出される微小粒子状物質が発生源の一つとして指摘されている。 本研究は、灰物性の異なる最適な石炭の混合燃焼によって、灰粒子同士の凝集を促進させて粒子を粗大化を図り、集塵効率の低い粒径範囲の粒子(0.1~1μm)の発生量を減らすことを目的にした研究である。 流通式燃焼装置による石炭の混合燃焼試験を実施した。流通式燃焼装置(DTF、試料供給量 30g/h、内径50mmφ、長さ 1800mm)を使用して、石炭の単独燃焼試験および混合燃焼試験を行い、燃焼条件が明確な条件で微小粒子の生成特性を測定した。微小粒子の粒径分布については、低圧カスケードインパクター(粒径範囲:0.03~12μm )で13段に分級して捕集し、蛍光X線分析装置、CCSEMおよび本年度の予算で購入したレーザ回折式粒度分布測定装置で測定した。この結果、低品位と高品位の2種類の中国炭の混合燃焼では、高品位炭を20%添加することによって粒径0.5μm以下の微粒子を、単独燃焼に比べて36~43%低減させることができることを明らかにした。燃焼時において石炭粒子内およびその近傍空間にアルカリ金属、アルカリ土類金属などを共存させて粒子表面を溶融状態にして粗大化していることを電子顕微鏡観察から確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流通式燃焼装置による石炭の混合燃焼試験を実施した。流通式燃焼装置(DTF、試料供給量 30g/h、内径50mmφ、長さ 1800mm)を使用して、石炭の単独燃焼試験および混合燃焼試験を行い、燃焼条件が明確な条件で微小粒子の生成特性を測定することができた。低品位と高品位の2種類の中国炭の混合燃焼では、高品位炭を20%添加することによって粒径0.5μm以下の微粒子を、単独燃焼に比べて36~43%低減されることを明らかにすることができ、概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の燃焼炉に近い条件で固体燃料の燃焼試験を行うため、メタン火炎フレーム中に石炭を供給するメタンバーナーを設置して混炭の燃焼試験を行い、灰粒子同士の凝集を促進させて粒子を粗大化を図ることができるかを確認する。分析方法は平成28年度と同様とする。また、捕集灰のSEM画像から粒子の粗大化を確認する。
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