2016 Fiscal Year Research-status Report
線形地震応答スペクトルを援用した機器・配管系の弾塑性応答近似解析法の開発
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16K14184
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
谷口 朋代 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90346370)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 弾塑性地震応答解析 / 最大値近似 / モード解析 / 多自由度系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地震時に多自由度系構造物に生じる弾塑性応答を、線形地震応答スペクトルを援用して簡便に解析する理論を構築し、1) 機器・配管系の耐震安全性評価に一般性を持たせる、2)耐震裕度の推定誤差を、現状の500%~1,000%程度を10%~20%程度にする、3)適切な耐震安全裕度を必要な箇所へ組入れることを可能にする設計法開発の礎に資する、ことを目的としている。 そこで初年度となる今年度は、構造物の部材塑性時の地震応答が、構造物の質量と部材塑性後の剛性から得られるモード諸量で形成されることを利用して、1) 各次モードの応答変位の出現確率が、塑性後も変わらないと仮定して、等価線形系を考案、2) 対象構造物が塑性しない場合の最大応答変位と部材の降伏変位の比を用いて、各次モードの降伏変位の定義式を考案、3) 各次モードの弾塑性応答変位の最大値を、線形地震応答変位スペクトルの値から数回の繰返し計算により求める方法を考案、4) 塑性後のモード諸量を用いて各次モードの応答を重ね合せる方法を考案、することにより、構造物の弾塑性応答の最大値を近似する解析的手法の構築を行った。 5自由度バネ―質点系を対象に、本研究から得られる各質点の弾塑性応答変位の最大値と時刻歴応答解析から得られるそれらを比較した結果、提案した手法は、多自由度線形系のSRSS法(二乗和平方根法)が有する解析精度と同等かやや劣る程度の解析精度を有することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
塑性後のモード諸量に基づき、多自由度系構造物の弾塑性応答を近似する解析手法の構築に一応の目処を付けた。しかし、提案手法による弾塑性応答の最大値の近似精度には、改善の余地があるので、次年度に取組みたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法による弾塑性応答の最大値の近似精度には、改善の余地があるので、それに取組む。現状では、1) 各次モードの降伏変位の定義の見直し、2) バネの応答状態を直接表現できる層間変位に着目して、改良に取り組むことなどを考えている。 また、実構造物の弾塑性応答の特徴を把握するために、小型模型を用いた振動実験と有限要素法解析法によるその再現解析を計画している。
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