2016 Fiscal Year Research-status Report
マスタスレーブ二足歩行ロボットのための実時間シミュレータ・ベースト制御技術開発
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16K14185
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊植 亮 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90362326)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二足歩行ロボット / 実時間シミュレーション / マスタスレーブ |
Outline of Annual Research Achievements |
【1.実験装置の構築】 まず,パソコン1台および力覚提示装置2台から構成される実時間シミュレータ環境を構築した.ここで用いた力覚提示装置は並進3自由度のみの比較的安価なもの(Novint社製Falcon)である.C言語によって二脚ロボットの動力学モデルを構築し,任意の制御則で関節トルクを駆動できるようにした.また,ロボット関節の摩擦力や,足部と地面との接触における摩擦接触力については,研究代表者の独自技術によってモデル化し,シミュレータに実装した. 【2.バランス維持制御と足首位置マスタスレーブ制御の実装】 足首関節のみで行うバランス維持制御と,足首位置と力覚提示装置の位置を一致させる位置制御則を両立する制御アルゴリズムの基本的枠組みを確立した.具体的には,足首にロール軸・ピッチ軸周りのアクチュエータを配置し,それらはバランス維持制御に専従させる.それ以外の関節は,力覚提示装置からの指令にもとづいて制御される.ここで実装したバランス維持制御則は,床反力中心に対する積分制御(I制御)と体幹中心に対する比例微分制御(PD制御)を重ね合わせたものである. 【3.モード切替の導入による歩行の実現】 自然な歩行を実現するためには,片足支持状態と両足指示状態との間の遷移を,ユーザーが意図したように実現する必要がある.このために,床反力中心位置と体幹中心位置をもとにして制御モードを切り替え手法を考案した.これによって,自然な歩行と足踏み動作が可能になった.なお,床反力中心位置は外力にも影響されるが,このときにも自然なモード遷移ができるように改良した手法も構築済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規構築したシミュレータ環境と新しい制御則によって,安定した二足歩行が実現できるようになった.
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Strategy for Future Research Activity |
【1】シミュレータ環境をより洗練し,斜面や不整地のモデルを導入する.これらの環境においても歩行を実現できるように制御則を改良する.また,複数のロボットモデルを切り替えられるようにシミュレータのインタフェースを改良する. 【2】現在の制御アルゴリズムにおいては,自然な歩行を行うためにはユーザーが操作に十分に習熟する必要がある.制御則を改良し,初心者でも簡単にモード切替をより直感的に行うことができるようにすることを目指す.方策としては,両足支持期におけるモード遷移アルゴリズムを再精査する. 【3】現在の制御アルゴリズムはいわゆる「アンクルストラテジー」にもとづいており,足首関節でのみバランス制御を行っている.この想定では足首に大出力アクチュエータを配置する必要があり,現実的ではない.多様な関節構造のロボットに適用できるように制御則を拡張し,ユーザー指令への忠実性とバランス維持制御と矛盾のない両立を図る.具体的な方策としては,体幹から見た足部のロール軸・ピッチ軸回転の自由度のみがバランス維持制御に貢献するように全身のアクチュエータを協調制御し,ユーザー指令による位置制御と重ね合わせる方法を検討する.
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Causes of Carryover |
旅費の見積もりなどで誤差が生じたためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数式処理ソフトのライセンス更新料や,情報収集・成果報告のための旅費および論文投稿料として使用を計画している.
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Research Products
(4 results)