2016 Fiscal Year Research-status Report
無重力環境や老化による筋機能低下のモデル化と予防装置の提案
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16K14188
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
辻内 伸好 同志社大学, 理工学部, 教授 (60257798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 彰人 同志社大学, 理工学部, 准教授 (60516946)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リハビリテーション / バイオメカニクス / 筋骨格モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙船内あるいは反重力トレッドミルを用いた重力加速度の1/3および1/6に相当する(空気圧を利用した)体重免荷状態で,人体と環境間の相互作用情報を,ウエアラブルに計測可能なセンシング装置を開発し,人体筋骨格モデルを用いたシミュレーションと比較することで,廃用性筋萎縮の原因を明らかにするとともに,宇宙船内で利用可能な予防のための運動機器や地上帰還時のリハビリ装置,および加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)の予防機器を提案することを目的に研究を実施した.以下に本年度得られた結論を示す. ① 地上における反重力トレッドミルを用いた歩行実験を行い,重力と下肢骨格筋力との影響について,表面筋電位を計測し解析を実施した.その結果,体重免荷条件に対して抗重力筋であるヒラメ筋(SOL)は大きな影響を受けるが,腓腹筋(MG)は影響を受けにくいことが確認された. ② 環境との相互作用を評価するための手指の運動機能計測システムを開発し,手指の関節に関する幾何学情報を取得する手法を開発した.開発した指運動計測システムを使用し,以下の結論が得られた.(1) 関節中心推定手法を提案し,既知の位置において精度を検証した結果,誤差は小さい.(2) 光学式との比較では,関節の幾何学的情報の推定と動作計測は,2自由度回転を持つ関節の推定において有用である. また,NASA Johnson Space Center が所有する Active Response Gravity Offload System (ARGOS) を使用した共同研究を進めるため,NASA を訪問し ARGOS を体験した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,廃用性筋萎縮症の原因解明のため,被験者に申請者らが開発した「ウエアラブルな歩行運動解析装置」を装着して,反重力トレッドミルによる様々な免荷条件での歩行運動実験を行い,生じる下肢・上肢の表面筋電位を表面筋電位計等の生体信号計によって計測する計画であった.しかし,「ウエアラブルな歩行解析装置」のブルーツース化が遅れたため,表面筋電位のみから抗重力筋であるヒラメ筋の外部負荷に対する影響を評価した. 廃用性筋萎縮症を表現可能なシミュレーション機能モデルの構築に関しては,一端をMP関節中心(PIPC),もう一端を基節骨端(PMPP)に接続した自然長0のバネで復元力を再現する関節モデルを構築した.慣性パラメータは筋骨格シミュレーションソフトウェア SIMM を用いて,各被験者でスケーリングした骨格モデルより算出した.ウエアラブルな歩行解析装置の開発が遅れたが,概ね計画通りに推移している.
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Strategy for Future Research Activity |
環境との相互作用を評価するため,「手指の運動機能計測システム」の開発を行う.近年MEMS技術により,小型,低価格化されている3軸加速度センサ,3軸ジャイロセンサ,3軸地磁気センサを1つにした姿勢センサ(BMX055,BOSCH製)を手指のセグメントに17個程度配置し,計測を行い,手首に配置する基板へデータを転送する.本装置の基本構成については,昨年度中に開発した.今年度は,「手指の運動機能計測システム」の校正手法やノイズの低減のためのフィルタ設計などを行う. ウエアラブルな歩行解析装置のブルーツース化のシステム設計,部品調達など目処が付いたので本装置を試作し,反重力トレッドミルによる様々な免荷条件での歩行運動実験を行い,廃用性筋萎縮症を表現可能なシミュレーション機能モデルの精度を向上させる.
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Causes of Carryover |
次年度に,各指の運動を含む「手の運動計測システム」と「ウエアラブル歩行解析装置」を組み合わせた「全身運動解析システム」の統合化のための試作と改良を検討している.情報量の増加とリアルタイム性の確保のため,CPUの増強を図る必要が有る.「ウエアラブル歩行解析装置」のブルーツース化が本年度は間に合わなかったため,次年度に繰り越し,試作費に充当する.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「全身運動解析システム」の試作費および,搭載予定のCPUからのインターフェイス用ソフトウェアの開発費用に充当する.
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Research Products
(4 results)