2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ3Dプリンタと細胞シート技術による3次元状細胞組織の作製
Project/Area Number |
16K14203
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
梅津 信二郎 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70373032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 勝久 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員(研究院准教授) (70468867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バイオエンジニアリング / セルシート / チタン細線 / 人工血管 / 3次元状細胞組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
バイオプリント、マイクロ流路、超精密機械加工技術などのバイオファブリケーションを利用して人工臓器や生体組織を作製する研究が非常に注目されている。中でも、実際の生きた細胞とコラーゲンなどの足場材 (スキャフォールド) から構成される3次元状の人工生体組織は、生活の質 (QOL) の観点から極めてニーズが高く、毛細血管を含む積層型細胞シート組織などが作製されている。そこで、本研究では、様々なバイオファブリケーション手法のメリットを生かし、毛細血管と細動脈を有する、実際の生体組織に近い3次元状細胞組織の作製にチャレンジする。特に今年度は、細胞シート技術とチタン細線を用いて、血管構造を有する3次元状組織の作製を行った。細胞シート間にチタン細線を挿入して培養を行った後、チタン細線を抜くことによって、空洞を作製した。さらには、バイオマテリアルをコートしたチタン細線表面に血管内皮細胞を培養したものを用いて同様の実験を行うことにより、人工血管を有する積層型細胞シートを開発した。人工血管の内径は、挿入するチタン細線の直径によって調整可能であることも把握した。また、2層で積層している細胞シートの間に1本の管腔構造を作製し、灌流を行うことに成功した。この技術を用いることにより、現在2層で積層している細胞シートを複数層積層し、厚い組織の作製を行うことが可能になることが期待される。多層化を行う際はより多くの酸素や栄養分の供給が必要となるため、複数本作製した血管への灌流培養を行う必要がある。1本の血管を作製する際はシリンジから直接灌流を行っていたが、多層化を行う際は複数本の灌流が可能な装置を自作し、本研究の装置と従来の毛細血管を作製する技術と複合させて灌流培養を行うことで、従来の組織に比べてより生体を模擬した機能的3次元組織の構築が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
人工血管を有する3次元状細胞組織の開発を目的としており、その中でも最も重要な課題をクリアしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用時に必要となる人工血管の生化学特性の把握を行う。3Dプリンタを援用し、より複雑な血管組織の作製と生化学特性の把握を行う。
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Causes of Carryover |
細胞シート間に細胞を設置するための画期的な手法を短期間で開発できたため、開発に伴う予算・時間ともに節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生化学特性に関する実験は、詳細までしっかりと調査する予定でいる。また、確認実験を何度も行うことで、精度の高いデータ構築を行う。
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Research Products
(7 results)