2017 Fiscal Year Research-status Report
火星探査飛行機の実現に向けた高揚力生成プラズマアクチュエータの開発
Project/Area Number |
16K14207
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小室 淳史 東北大学, 工学研究科, 助教 (70733137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅井 圭介 東北大学, 工学研究科, 教授 (40358669)
安藤 晃 東北大学, 工学研究科, 教授 (90182998)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / 気流制御 / 火星飛行機 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は真空チャンバー中での放電実験と、火星大気風洞を用いた風洞実験を実施した。 放電実験においては、ガス圧力を大気圧から火星大気である0.7 kPaまで徐々に変えながら、放電の特性がどのように変化するかを観測した。計測したパラメータは放電電圧、電流、放電発光である。これらを様々なガス圧、ガス種(空気、酸素、窒素、二酸化炭素)環境下で計測した。また、放電特性に加えて、シュリーレン法によりプラズマアクチュエータで発生する誘起流の可視化を行った。 火星大気風洞を用いた風洞実験においては、コード長50 mm、スパン長100 mmの平板翼を用いてプラズマアクチュエータによる剥離制御実験を行った。平板翼は3Dプリンタを用いて作成し、平板翼の内部に静圧孔を開けることで翼表面にかかる静圧の計測が行えるようにした。プラズマアクチュエータを点けた場合と点けない場合とで翼面に生じる圧力にどのような違いが生じるかを計測し、プラズマアクチュエータによる剥離制御効果を評価した。実験は20 kPa, 10 kPa, 5 kPa環境下で行った。また、圧力計測に加えて、風洞中でのシュリーレン計測を行った。高速度カメラを用いることでプラズマアクチュエータにより流れが非定常に変化する様子をとらえることに成功した。プラズマアクチュエータに関する研究はこれまでそのほとんどが大気圧環境下で行われてきているが、本研究により減圧環境下でもプラズマアクチュエータは有効に動作する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
風洞実験の準備が想定以上に進み、最終年度に実施予定だった風洞実験を本年度中に2回行うことが出来、結果として減圧環境下でのプラズマアクチュエータの有効性を示すことが出来たため。この成果により、最終年度には十分な時間をかけてプラズマアクチュエータのパラメータサーベイを行うことが出来るようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究において、減圧環境下でのプラズマアクチュエータの有効性を示すことに成功した。今後は同様の減圧環境下でのプラズマアクチュエータの性能をさらに向上させるべく、プラズマアクチュエータの設置位置や放電周波数、放電電圧を変化させて実験を繰り返しデータを蓄積しながら改良を重ねていく。特に、放電電圧波形に関しては、一般的なプラズマアクチュエータでは交流高電圧が使われることが多いが、本実験ではパルス電圧による気流制御にも挑戦する。パルス電圧によるプラズマアクチュエータは高レイノルズ数環境下ではその有用性が確かめられているが、本実験で行うような低レイノルズ数環境下での有効性は確認された例がない。また、性能を向上させるだけではなく、真空チャンバーを用いた放電実験と風洞実験を組み合わせ、かつ、減圧環境下の流れ場という特殊な環境を利用することで、放電プラズマと気流との相互作用に関する理解を深めていく。
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Causes of Carryover |
風洞実験に使用するアルミフレーム等の物品を節約できたため。次年度の風洞実験で計測設備の改良を計画しているため、そのための予算として使用する予定である。
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