2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14217
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小迫 雅裕 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (80350429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 弘晃 東京都市大学, 工学部, 准教授 (60421864)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノコンポジット / 機能性絶縁材料 / 沿面放電 / 二次電子放出係数 / 量子化学計算 / エポキシ樹脂 / ナノフィラー |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ナノコンポジット創製と基礎的特性評価: ナノコンポジット試料を独自創製した。ポリマーマトリックスはエポキシ樹脂を選定した。ナノフィラーとして,SiO2、Al2O3、BN、TiO2、BaTiO3、フラーレンを中心に試料創製を行った。添加率は0.1、0.5、1、5、10 %などにした。ナノフィラー粒径は入手可能なものでなるべく100 nm以下のものである。基本的には1mm厚の板状に成型した。電子顕微鏡観察によりナノフィラーの分散状態を把握し,本研究の狙いに最も影響のある誘電特性(比誘電率,比誘電損率)を評価した。同時にプラズマエッチング処理による試料表面改質も検討した。 (2) 沿面放電耐電圧実験: 絶縁油中での沿面放電実験では,エポキシ樹脂にSiO2を1%添加すると放電開始電圧が10%向上した。SF6ガス中の沿面放電実験では,エポキシAl2O3マイクロコンポジットにTiO2およびBaTiO3のナノフィラーを1%添加すると沿面フラッシオーバ電圧が5%向上した。これらは世界的に例のない成果である。 (3) 二次電子放出係数測定: 計算解析を実施した試料において、二次電子の放出量を実測した。S/Nの向上を図り、実験系を改良した。 (4) 量子化学計算解析: (1)で創製した試料について、モデル化を考慮した上で量子化学計算を実施した。量子化学計算にはGaussian09を用いた。これにより、ナノ粒子を添加したコンポジット材料の分子軌道を算出することにより、放電を発生・進展させる二次電子を抑制するためのポテンシャル場が形成されるか検討した。計算は(1)で述べた試料構成を基本に、添加材とその添加量を調整した分子構造モデルで実施し、次年度に創製を行うための基礎条件を導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を概ね予定通りに進行している。成果も予想していた傾向(ナノコンポジット化による沿面耐圧向上)が得られ,学会発表および特許出願も実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)~(4) 前年度の試験結果および量子化学計算に基づいた試料の創製および各種測定: 前年度から実施をしている量子化学計算の結果に基づき、分子構造と電子物性の関係から選択的に試料を創製し、前年度に引き続き(1)~(4)の項目を評価、設計通りの性能であるか確認する。 (5)革新的絶縁設計指針: 以上の研究成果で得られた知見を踏まえた上で、固体絶縁材料は比誘電率などの一般的特性の考慮で絶縁設計するのではなく、放電抑制しやすい材料開発を用いた次世代電力機器の革新的な絶縁設計指針の提唱を目指す。
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Causes of Carryover |
前年度に引き続き研究計画を遂行すべく,各種消耗品,旅費,その他の費用が必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品は,各種樹脂・フィラー,電極,SF6ガスボンベ,電子部品,論文抜刷購入費。旅費は,国内打合せ,国内外の学会参加。その他は,解析用ソフトウェアリース料,電子顕微鏡利用料,学会誌投稿料。以上を予定している。
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Research Products
(11 results)