2017 Fiscal Year Research-status Report
超音波を用いた高温超電導線材の機械的欠損診断法の可能性研究
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16K14219
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
野村 新一 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (90401520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二ノ宮 晃 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員(客員研究員) (50119351)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高温超電導線材 / 超電導コイル / 超音波 / 機械的欠損 / 層間剥離 / 伝達特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,「超音波を用いたイットリウム系(Y系)高温超電導線材の機械的欠損法を確立する」ことを研究目的としている。本研究は,一対のAE(アコースティックエミッション)センサーをテープ形状のY系線材に挟むように設置し,一方のAEセンサーから超音波を送信し,他方のAEセンサーでその信号を受信して入出力間の信号伝達特性を評価することでY系線材内部で発生する機械的欠損の可能性のある部位を検出する方法の可能性を検証することを目的としている。 平成28年度に引き続き,平成29年度は積層構造であるY系線材を層間剥離させた短尺試料を用いて,室温環境下での信号伝達特性を評価した。短尺試料の長さは200 mm程度で,そのうち10 mm程度の範囲を層間剥離させている。剥離させる前後で液体窒素冷却による短尺試料の臨界電流値を評価し,層間剥離させることで臨界電流値が低下することを確認している。層間剥離させた部分のテープ線材の厚みを計測すると他の部分よりも厚みが増していることが確認され,同時に層間剥離させた部分の超音波の信号強度も減衰していることが確認された。これにより,AEセンサーによる超音波の信号伝達特性を評価することで層間剥離が検出できる可能性を確認した。平成29年度は特に,診断方法の再現性を高めるために,テープ線材に挟み込むAEセンサーの設置圧力を管理しながら実験した。また,信号伝達特性の信号強度の減衰だけでなく,位相特性に関しても評価している。現在のところ,共振周波数領域での信号強度の減衰から評価するよりも,位相特性を評価する場合の方が本診断法の再現性を高める可能性があることを見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初,コイル巻線を想定してY系テープ線材を数枚重ねて,層間剥離が検出できるのかについても検討を進めていく計画にあったが,まずは,Y系テープ線材一枚について層間剥離をAEセンサーで検出する診断精度を高めること,つまり実験の再現性を高めることに研究の焦点を絞って進めてきた。その結果,AEセンサーの設置圧力を管理すること,超音波の信号伝達特性を評価する上で,信号の減衰から診断するよりも共振周波数近傍における位相特性の変化を評価する方が再現性を高められる可能性があることがわかってきた。したがって,本手法の有効性を示すという観点から見れば,おおむね順調に進展しているものと評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初,Y系線材をコイル状に巻いた状態で機械的欠損が検出できることが最も理想的であるが,AEセンサーによる機械的欠損の診断法の確実性を高めることに専念し,今後はY系線材一枚において本手法の有効性を示すことに焦点を絞り研究を進めていく。平成29年度までは,Y系線材の層間剥離の検出に関して研究を進めてきた。しかし,層間剥離の場合,外見上からもY系テープ線材の厚みの変化からある程度,臨界電流値の低下を予測できる状態でもある。問題は,外見上,Y系線材に変化が見られずとも線材内部の超電導層に機械的な欠損が生じるような状況においても,AEセンサーによって検出できるかどうかということである。具体的には,線材メーカが推奨する許容曲げ半径以下に張力を印加しながら曲げた試料を用意し,臨界電流特性の劣化とAEセンサーによる診断法との間に関係性を示せるかどうかについて検証していきたいと考えている。 現在,Y系線材を用いた超電導コイルにおいて,層間剥離だけでなく巻線間に局所的な電磁力が生じて線材が折れ曲がることでコイルの臨界電流値が低下すると考えられている。本研究において,まずはY系線材一枚についてAEセンサーによる機械的欠損の診断法を確立させることを目指し,その結果に基づきコイルレベルでの技術的な課題に関して明確にしていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,Y系線材一枚の短尺試料試験において,機械的欠損,特に層間剥離検出の再現性を高めるため,信号処理方法の検討を中心に研究を絞って遂行したため,Y系線材,AEセンサーならびに実験装置の製作の費用が当初の計画よりも抑えられたからである。平成30年度は,線材を許容曲げ半径以下に曲げて張力を印加した試料を作成して,本研究手法の有効性を検証する予定にある。したがって,助成金は,線材に曲げと張力を印加する実験装置ならびに冶具,AEセンサー,Y系線材などの物品費として使用する計画にある。
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Research Products
(1 results)