2016 Fiscal Year Research-status Report
金属短針電流雑音誘起機構による半導体単一電子トラップ検出と評価
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16K14240
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
葛西 誠也 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (30312383)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 半導体物性 / 単一電子トラップ / 評価解析 / 走査プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体中の電子トラップは各種半導体デバイスの不安定性、寿命、雑音など、多くの信頼性劣化要因となっている。本質的な信頼性改善には個々のトラップの位置と性質を知り制御する必要がある。しかしながら個々のトラップを捉えて素子に与える影響を直接的に知る手段はまだ存在しない。これを可能にする計測手法が望まれている。 以上を背景のもと、本研究の目的は、独自に見いだした金属短針と半導体表面の微小領域容量結合による雑音誘起メカニズムと高い空間分解能をもつ走査プローブ顕微鏡技術を組み合わせた新規計測系を確立し、単一電子トラップを評価する手法を開拓することである。 平成28年度の研究実施計画は(1)計測系の確立:現有の走査プローブ系に適合する被測定サンプルの電極コンタクト用超低雑音プローブを設計導入し、被測定サンプル準備および測定の効率を高める。(2)高い捕獲エネルギートラップ検出方法の開拓:現状では、時定数が非常に長く現実的に計測な時間スケールで電流変化が生じない場合が多いことが問題となっている。本問題解決のため、短針バイアスコントロールを取り入れる。局所的な表面ポテンシャルの変化を通し、単一トラップの捕獲エネルギーを補償することで、ナノワイヤとトラップの電荷のやり取りすなわちランダムテレグラフ雑音を誘起させて、当該トラップの検出を可能にする。 本年度の実施研究は、計画のうち(1)の超低雑音プローブを計測器メーカと設計し現有の原子間力顕微鏡(AFM)系に導入した。これを使用し素子の雑音測定が可能であることを確認し、準備と測定の効率化が可能になった。また(2)についてバイアス印加によって、バイアス0の際には検出不可能なトラップの検出が可能であることを実験的に示した。よって計画はほぼ達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ当初計画通り進捗している。 現有の走査プローブ系に試作素子との電気的接触をとるための超低雑音プローブを設計し導入した。これによりサンプル準備や測定が効率的に行えるようになった。また、短針バイアス印加によってエネルギー的に深い位置にある表面トラップの検出に成功し、当初のコンセプトを実験実証できた。空間分解測定のための短針スキャンと雑音計測を自動化する機能の実装に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ナノワイヤ電流雑音の短針バイアス依存性を詳細に測定解析することにより単一トラップに関する物性評価が可能であることを示す。 (2)空間分解測定のための短針スキャンと雑音計測を自動化する機能の実装を引き続き進める。 (3)本研究の検出技術を単一分子の電荷ダイナミクス検出へ応用する検討を開始する。
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Causes of Carryover |
成果発表のための学会旅費(交通費)について当初予定より安価な航空券を利用したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として利用する。
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Research Products
(6 results)