2016 Fiscal Year Research-status Report
半導体二次元プラズモニックブームの発生とそのテラヘルツ応用
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16K14243
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾辻 泰一 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40315172)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テラヘルツ/赤外材料・素子 / マイクロ・ナノデバイス / 半導体プラズモニクス / 量子エレクトロニクス / 電子デバイス・機器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高強度コヒーレントテラヘルツ光源への応用を目的として,半導体二次元量子井戸や二次元原子薄膜内の電子電荷の集団密度振動波(プラズマ波)に対する電子ドリフト流の超速度現象を利用した衝撃波(プラズモニックブーム)の発生に他に先駆けて挑戦する。研究開始初年度にあたり,計画通り研究課題を遂行し,以下の実績を得た。 1.プラズモニックブームのモデリング: 電子流体としての非線形波動の挙動を,ENO (Essentially Non-Oscillatory) スキームによる時間領域有限差分法を用いて電磁流体方程式と電荷連続(Poisson)方程式を自己無撞着に解析する手法をベースとして,2.5次元(厚さ方向に自由度がない)でモデル化した。 2.デバイスの設計・試作・評価: プラズマ波速度が一定となるように電子走行層の幅(走行方向に対して垂直方向)を周期的に変調する構造は素子加工法の検討を開始した。電子走行層幅が一様でプラズマ波速度をドリフト速度と逆特性に変調する素子構造を非対称二重回折格子ゲート構造によって設計し,新たに連携を開始した国際共同研究機関(西・サラマンカ大学)所属共同研究者所有の加工装置・設備を用いて試作した。試作素子は,予想通りの直流電流電圧特性を示した。試作素子のテラヘルツ応答をテラヘルツ時間分解分光計測装置を用いて測定した。すなわち,試作素子にフェムト秒テラヘルツパルスを入射させ,素子を透過したテラヘルツパルスの時間応答波形を観測した。その結果,ゲートバイアスおよびドレインバイアスに応じて,素子応答が通常の吸収・損失応答から,一定の閾値バイアス以上では,増幅・利得応答に転ずることを他に先駆けて,観測することに成功した。利得閾値特性のバイアス依存性より,プラズモニックブーム発現が示唆され,今後詳細な,理論との照合を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画策定した3つの課題:デバイスモデル化,素子設計試作,試作素子評価をいずれも計画通りに遂行し,試作素子から,プラズモニックブーム発現を示唆するテラヘルツ波利得増幅作用の観測に他に先駆けて成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.デバイスモデリング:ENOにGhost Fluid法を組み込んだFDTD解析法を完成し,デバイス設計,実験結果の解析・フィードバックに活用する。試作素子が示したテラヘルツ波増幅作用がプラズモニックブームに起因するものであることの同定を進める。 2.デバイス試作・評価:第一に,プラズマ波速度が一定となるように電子走行層の幅(走行方向に対して垂直方向)を周期的に変調する構造の素子を設計・試作・評価し,今年度試作素子との特性を比較検討する。第二に,テラヘルツ放射効率とアンテナ構造の観点から素子構造を改良し,目標の放射強度実現に挑むに,テラヘルツ放射のコヒーレンシー,強度,周波数可変性を明らかにする。 3.総括:プラズモニックブームの実現とそのテラヘルツ応用の可能性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初今年度購入予定で物品費として計上した「ソースメータ」については,実験計画上,29年度の後半からの利用予定に時期が後退したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次の物品の購入費として使用する。(購入予定額との微小な差額分は次年度計画予算で補う。) 品名:ソースメータ,仕様:10A/200V, 1 fA(ケースレー・2635B),数量:1,単価:760,000円
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Cooperative promotion of plasma instabilities for emission of terahertz radiation in an asymmetric dual-grating gate graphene-channel FE2016
Author(s)
Akira Satou, Yuki Koseki, Takayuki Watanabe, Vyacheslav V. Popov, Victor Ryzhii, Taiichi Otsuji
Organizer
SPIE DCS: Int. Conf. on Defense + Commercial Sensing, Conference 9856 on Terahertz Physics, Devices, and Systems X: Advanced Applications in Industry and Defense
Place of Presentation
Baltimore Convention Center, Baltimore, MD, USA
Year and Date
2016-04-17
Int'l Joint Research