2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14253
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
福田 光男 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50378262)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 表面プラズモン / 光デバイス / 光回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、表面プラズモンを信号キャリアとする平面ネットワーク(クロストークの小さな表面プラズモン導波路の交差技術や合分波技術の開発及びMOSFET等の電子デバイスが接続されたネットワーク)の実現である。本目的に向け、平成28年度は以下を実施した。 (1)表面プラズモン金属回路網の低損失化で重要となる平面交差配線(配線に段差があると、損失が極端に増大する)に関し、単一モード導波路の交差部へ多モード干渉計(MMI)を導入することにより、交差配線の結合部を空間的にずらすことを提案していた。本技術に関し、時間領域差分法(FDTD法)による詳細な設計と金属薄膜上に導波路とMMIをSiO2膜のパターニングのみで作製したデバイスにより、数十度以下の交差角でもクロストークが10dB程度確保できることを近接場光顕微鏡による実測で確認した。 (2)本導波路技術を発展させ、金属薄膜上にSiO2膜のパターニングのみで形成される単一モードの表面プラズモン導波路とMMIからなる1300と1550 nm帯の合分波器をFDTD法により設計した。設計に基づき合分波器を作製し、近接場光顕微鏡を用いた実測により、1300 及び1550 nm帯の表面プラズモンの合分波の基本動作を確認した。 (3)本導波路について、金属薄膜上にSiO2膜のパターニングのみで形成される表面プラズモン導波路が低損失な導波路であることをFDTD法による設計と実測の両面より確認した。さらに、これらの導波路をMOSFETのゲート電極へ複数接続し、同時動作が可能であること及びコヒーレント検出が可能であることを実験的に明らかにした。 (4)これらデバイスの評価系について、近接場光顕微鏡を中心に光学系を組上げ、数十μm以上の広い範囲で、表面プラズモン強度分布の高精度な測定を可能とした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の計画は、①金属配線による表面プラズモンネットワークの設計と作製( FDTD法によるデバイス設計と本学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー内の電子ビーム露光装置とFIBおよびCMOS製造ラインを用いたデバイス作製、②作製した試料の、近接場光顕微鏡を基本とした、評価系のセットアップであった。 本計画に関し、研究実績の概要の(1)から(3)に記載したように、金属配線による表面プラズモンネットワークを金属上のSiO2膜のパターニングのみで形成できることを設計と実測の両面から明らかにしている。これらのネットワークには表面プラズモン導波路の交差配線や合分波器等が含まれ、それら表面プラズモン信号をMOSFETのゲート電極へ接続することにより、MOSFET集積回路からの電気信号として出力できることを確認できている。ここで、表面プラズモン導波路とMOSFETの接続は平成29年度の計画である。さらに、評価系のセットアップについては、研究実績の概要の(4)に記載したように、近接場光顕微鏡を中心に光学系を組上げ、表面プラズモンネットワークにおける表面プラズモンの強度分布の測定を可能としている。 これらの成果を勘案し、上記の進捗状況とした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度で当初予定していた、表面プラズモン交差配線と合分波器を含んだ2次元ネットワークにより、表面プラズモン発生部、検出部およびMOSFET等を結びつけた集積デバイスを作製可能であることを、設計(シミュレーション)のみならず実験的にも、平成28年度でほぼ示すことができた。したがって、平成29年度はこれらのデバイス技術の向上と再現性の確認に注力する。さらに、表面プラズモンは、伝播損失が大きいと一般的に思われているが、電気配線と比較して低損失な範囲について、シミュレーションを中心に明らかにする。これにより信号の伝播損失の観点より、電気配線に比べて、表面プラズモン金属導波路ネットワークの有効な規模を明確にする。
|