2016 Fiscal Year Research-status Report
超微量溶液分析用高感度テラヘルツμTASチップの開発
Project/Area Number |
16K14255
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北岸 恵子 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 特任研究員 (20563860)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | テラヘルツデバイス / 超微量溶液分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
テラヘルツ(THz)近接場光を利用し、ピコリットルオーダーでの超微量溶液分析とフェムトモルオーダーの感度を有するチップ開発とそのチップを利用した溶液のダイナミック計測応用について検討を行った。具体的には、安価で光リソグラフィーによる表面加工が可能な非有機系のGaAs(110)をTHz波源として用い、表面上に微量溶液伝搬用の微小流路構造を作製した。微小構造は硫酸系エッチャントによるウェットエッチングによって作製した。このようにして作製したデバイスは溶液試料とTHz波光源が一体化したTHz-μTASチップとして用いることができた。 また、より高感度な検出を狙い、流路構造とTHz波の集光効果を発現する凸構造や局所電場増強を発現する網目構造、鋭いQ値の共振現象を引き起こすメタマテリアル構造との融合について検討を行った。メタマテリアル構造については、複数個のメタマテリアル構造を有するデバイスを作製し、構造のサイズ、数、配置の最適化を行った。さらに、非線形テラヘルツ波の電場および磁場の向きとリング共振器の配置との角度を変更し、共振状態の角度依存性を調べた。この共振状態の配置角度依存性を利用して、測定の最適化を行い、一層高感度化するという、従来にはなかった全く新しい手法を確立した。 作製したTHz-μTASチップを用いて、血液の微量分析を行い、検出されるTHz強度が血糖値に依存するという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に予期していなかった大きな問題は起こっておらず、デバイスの作製の検討はきわめて順調に進んでいる。ただ、アプリケーション測定については生体試料の扱いに不慣れなこともあり、計画の先取りはできていない。
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Strategy for Future Research Activity |
デバイスを用いた生体試料の測定を安定して行えるような分光システム構築を完成させる。血液の測定については、血糖値のみならず、中性脂肪濃度などの測定も試みる。また、溶液の化学反応のダイナミック測定、バクテリアなどの微生物の活性化周期などの分光測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
デバイスの作製を集中的に行い、システムに組み込んでの測定は実施したが、アプリケーション関連については、内容の検討に至っておらず、試薬系の消耗品、アプリケーション測定のための光学部品の購入が予定よりも遅延した。またデバイスについても、予定した数量の製作はしておらず、その素材であるGaAs、GaP基板の購入が予定数を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
アプリケーション測定のための光学部品、測定容器、試薬等の購入を早急に行う。またアプリケーション測定に必要な数量のデバイスの素材を購入し、研究を速やかに進める。
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Research Products
(2 results)