2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K14271
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
中野 秀洋 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (10386360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 健哉 日本工業大学, 工学部, 教授 (50286762)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 粒子群最適化 / 進化計算 / 非線形システム / 決定論的システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究において,以下の成果が得られた.確率変数を有する既存の群知能最適化法と比較し,同等あるいはそれ以上の探索性能を示すことができる決定論的群知能最適化法を提案した.提案手法において,最適化問題の解を探索する各探索個体の各時刻における状態変数は,自身が持つ位置,速度,最良解などの情報に基づき,決定論的に与えられる.特に提案手法では,各探索個体の状態変数が,減衰振動と発散振動を交互に繰り返しながら変化する点が特徴的である.また,振動を切り替える条件も探索の状況に応じて動的に変化する.これにより,各探索個体は動作が決定論的でありながら,複雑な挙動を示すことができ,解空間を広域的に探索できる.様々なベンチマーク問題を対象とした数値実験を行い,提案手法が良好な性能を示すことを明らかにした.さらに,提案手法にける各探索個体の収束性に関する理論解析を行い,安定して良解の探索が可能なパラメータ条件を明らかにした. また,決定論的群知能最適化法をハードウェア実装するための基礎として,既存の確率論的群知能最適化法に対するネットワーク化,および,PCクラスタへの実装と評価実験を行った.一般的な群知能最適化法では,多数の探索個体を用いて並列的に解の探索を行う.本研究では,各計算ノードに探索個体群を分散配置し,最良解の情報のみを通信する並列分散実装法を提案した.実験の結果,計算ノード数と実行速度はほぼ比例し,通信のボトルネックがほとんど生じないことを確認した.今後は決定論的群知能最適化法の実装を行っていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度では,まず,既存の確率論的群知能最適化法の解析,および,決定論的群知能最適化法の構築を目標とした.既存の確率論的群知能最適化法の一つである粒子群最適化法は,解となる設計変数間に依存性を有する目的関数の最適化を行う場合,探索性能が著しく低下することがある.一方,提案手法では粒子群最適化法を基にしているものの,そのような性能低下はほとんど生じない.その要因の一つは確率論的手法から決定論的手法に変更したことであることが本研究を通じて明らかになった.これらより,上記目標はおおむね達成できているといえる. また,群知能計算モジュールの設計,および,試験も当該年度の目標とした.まずは第一歩として,既存の確率論的群知能最適化法に対する並列分散実装法を構築した.この実装法は,PCクラスタに限らず,GPGPUやFPGAなどへの実装にも応用可能である.また,決定論的手法の実装は探索個体を変更するのみである.今後の研究成果が十分に期待できる結果が得られており,この目標もおおむね達成できているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,確率論的要素を排除した決定論的群知能最適化法の構築を行う.また,探索によって得られる解の質をさらに向上させるための改良,大規模な問題に対応させるための並列計算手法について検討する.数値シミュレーションを行い,基本的な探索性能を明らかにする. また,群知能計算モジュールを結合させて最適化問題ソルバー回路を実装し,性能評価する.実験はCEC2015等のベンチマーク関数で行うが,計画通りに実機が動作しなかった場合に備え,並行して数値シミュレーションも行う. さらに,開発した最適化問題ソルバーを用いて実問題の最適化を行い,その性能評価を行う.我々はこれまでにも実問題に対して群知能最適化法を用いて最適化を行っている.このような実問題に対して本研究課題で開発した最適化問題ソルバーを適用させる.最適化は工学での基本問題であり,また群知能アルゴリズムに関する研究も内外で非常に盛んにおこなわれている.このため,研究の途中で得られた成果は積極的に外部に公表していく.
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Causes of Carryover |
平成28年度の研究では,有効な群知能最適化法を構築すべく,主に数値実験や理論解析を優先して進めていた.このため,実装回路の規模の見積もりや機器の選定が当初の予定より遅れた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究において,手法の構築や検討を十分に進めてきた.得られた成果に基づき,実装のための環境を整え,回路の試作,実機を用いた実験などの費用に充当する予定である.
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Research Products
(18 results)