2016 Fiscal Year Research-status Report
シングルショット全方位ナノオーダー精度3次元画像計測法の創成
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16K14274
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
粟辻 安浩 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (80293984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 計測工学 / 3次元計測 / 全方位計測 / ホログラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,動く物体をナノメートルオーダーかつ全方位の3次元画像を動画像計測が可能な技術の実証を目指しそのシステムとして,本年度は,静止物体に対してシングルショットで2方向からの高精度3次元像が記録・再生できるかの可能性試験を行った. 全方位の3次元画像を動画像計測が可能なシステムとしてまず,物体を異なる2方向から見た2枚のホログラムを1枚の画像に多重化してイメージセンサーを用いて記録したホログラムから,異なる2方向から見た物体の再生像を再生するためのコンピュータープログラムを構築した.奥行きの異なる位置に配置した2つの物体を仮定し,それぞれの物体について表面,裏面の像を再生できることを確めた. 次に,ディジタルホログラムとして記録した物体の合焦位置を求めるプログラムを構築した.構築したプログラムでは,再生像の振幅分布の局所分散を最小にする奥行き位置をその局所での合焦位置と判断させた.構築したプログラムで,2次元画像の合焦位置を得られることを確認した. さらに,物体を異なる2方向から同時に照射して,それぞれからの方向からの3次元像を1台の撮像素子で記録再生できるディジタルホログラフィシステムの光学系を設計した.構成の容易さを考慮して参照光の角度については,物体を見る方向によって異なる方向から照射する光学系とした.設計した光学系を構築し,構築した光学系において静止した物体を配置し,ディジタルホログラフィの記録実験を行った.それぞれの角度からの像を同時に記録・再生できることを実験的にも確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題である動く物体のナノメートルオーダーでの全方位の3次元画像を動画像計測が可能な技術に基づく装置の光学系を構築できた.また,構築した光学系により,異なる2方向からの異なる角度の再生像を1枚のホログラムからそれぞれ再生できることも実験により示せた.以上の成果が得られていることにより,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に開発した像再生プログラムでは,異なる2方向から見た場合に得られる再生像で,像の拡大・縮小,回転,シフトを合わせる必要があることがわかった.できるだけ,像の回転,シフトが起こらないように高精度調整光学素子を用いて光学系を構築する.また,拡大・縮小ならびに,残存する回転,シフトを計算で補正するためのアルゴリズムを構築し,そのソフトウェアを開発する. 提案法では,動く物体のナノメートルオーダーでの全方位の3次元画像を動画像計測が可能という特長があり,この可能性を試験する.平成28年度で行った実験では被写体として静止した物体を用いたが,本年度では動く物体を設定して,高精度かつ高時間分解能の全方位3次元動画像計測を試験する. 撮像素子として高速度カメラを用いることで,平成28年度に構築した実験システムの高速度化を行い,全方位の3次元画像を動画像計測が可能な実験システム構築する.高速度カメラの画素ピッチは,通常速度のグカメラの画素ピッチに比べて,約4倍程度大きい.そのために,平成28年度で構築したシステムの光学系をそのまま用いると,微細な干渉縞画像を記録することができない.そこで,新たな光学系を設計する必要がある.新たに設計した光学系を構築する.構築したシステムに対して,本技術の高速度高精度かつ高時間分解能の全方位3次元動画像計測を試験する. 最後に,本研究全体を総括するとともに,得られた知見をまとめて,総括と展望を行い,システムの更なる高性能化を目指して,新たな高速度高精度全方位3次元動画像計測に対する示唆を与える. 研究協力者としてホログラフィの記録について高度な知識を持つ神戸大学 的場修教授,産業技術総合研究所研究員 夏鵬博士と議論ならびに助言を受けながら研究を進める.
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Causes of Carryover |
本研究課題の実験系において光学系をより高精度に微調整するための機構についての検討が必要であることが研究期間中に分かったから.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究課題の実験に,微調整が可能な光学素子を購入する.
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Research Products
(21 results)