2016 Fiscal Year Research-status Report
誘電泳動を利用したPCRフリーDNA診断技術の開発
Project/Area Number |
16K14278
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
末廣 純也 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (70206382)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 誘電泳動 / DNA / マイクロデバイス / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
・多層誘電体球モデルを用いてDNA修飾をビーズ表面層の誘電特性変化として表現し、DNA修飾量によってマイクロビーズに作用する負の誘電泳動力がどのように変化するかを理論的に定量解析した。その結果、ビーズ1個あたりのDNA修飾量が1000個以上であれば、負の誘電泳動力の変化が顕著になることがわかった。 ・負の誘電泳動力の変化をDNA修飾ビーズの運動軌跡の変化として観察可能とするマイクロ流路デバイスを考案した。同デバイスでは、DNA修飾ビーズに作用する負の誘電泳動力と粘性力のバランスによって同ビーズの運動軌跡が変化する。 ・上記のデバイスの有効性を検討するため、DNA修飾ビーズの運動軌跡を数値シミュレーションにより検討した。その結果、負の誘電泳動力の低下により、DNA修飾ビーズの運動軌跡が変化することが定量的に確認された。 ・考案したマイクロ流路デバイスを試作し、DNA修飾ビーズの運動軌跡の変化を観察した。その結果、ビーズ1個あたりのDNA修飾量が1000個以上の場合、DNA修飾ビーズの運動軌跡に明確な変化が現れた。即ち、DNA修飾を施していないビーズには大きな負の誘電泳動力が作用するため、その運動軌跡はマイクロ電極のギャップに沿って大きく変化した。これに対し、DNA修飾ビーズでは負の誘電泳動力の影響が相対的に低下するため運動軌跡の変化が小さくなった。この現象を利用すれば、粒子個数を蛍光画像観察などで定量化することで、DNAを定量的に検出できるものと考えられる。 ・確認されたDNA検出感度は、従来の正の誘電泳動を用いる方法に比べ、約100倍の高感度化に相当する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画立案時に提案した原理を用いて、我々のグループが従来提案してきた方法に比べ、約100倍の感度でDNAを検出することに成功した。ただし、最終的な目的としている「PCRフリー」のレベルにはまだ到達しておらず、今後更なる高感度化に向けた検討が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
・負の誘電泳動力の変化によるDNA修飾ビーズの運動軌跡の変化を定量検出するため、蛍光画像観察などの手法を導入する。 ・更なる高感度化のため、進行波誘電泳動を応用した新たな検出原理を提案しその有効性を確認する。
|
Causes of Carryover |
今年度は既存の設備を有効利用して研究を実施することができたため、物品費の支出が当初の予算よりも少額となったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度計画している蛍光画像を用いた粒子検出に必要となる光学部品や電子回路部品の購入に充てる予定である。
|
Research Products
(3 results)