2017 Fiscal Year Research-status Report
エネルギー回生機構を持つハードディスクドライブの制御系開発
Project/Area Number |
16K14282
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
平田 光男 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50282447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 雅康 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10456692)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハードディスク装置 / エネルギー回生 / シーク制御 / 軌道設計 / 終端状態制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
全世界で消費されるハードディスクドライブの消費電力はクラウドのさらなる普及と相まって,著しく増大すると言われている。これを少しでも削減できれば,社会に与えるインパクトは計り知れないほど大きなものとなる。そこで,本研究では,記録ヘッドの高速な位置決め制御時に熱となって失われるエネルギーを回生し,次の位置決め制御に使うことで,消費電力を極限まで低減することを目的とする。昨年度は,エネルギー回生機構の検討とシーク軌道設計について検討しシミュレーションによりその有効性を検証した。今年度は,実験装置を作成し,実機実験により有効性を検証した。また,理論検討についても引き続き行った。要点を下記にまとめる。 (1)実験装置の作成:ハードディスク装置の位置決め機構を,駆動モータと負荷モータをカップリングで結合した装置で模擬した。駆動モータはPWMアンプを用いて駆動することとし,駆動モータの電流及び回生用キャパシタの電圧が検出できるようにした。また,モータの回転角度はエンコーダを使って検出することとした。制御装置には,ラピッドプロトタイピング装置を使用した。 (2)実験による有効性検証:終端状態制御により求めたシーク軌道を実験装置に与え,位置決めにかかる消費電力を評価した。機械共振による残留振動を低減した軌道とそうでない軌道のどちらの場合においても,回生機構による消費電力の低減が確認できた。特に,残留振動を低減した軌道の方が,消費電力の低減効果が大きいことが分かった。 (3)回生アルゴリズムの基礎検討:エネルギー回生は昇圧チョッパー動作に基づいている。ここに,PWM型入力系の厳密化法を適用することで,さらなる効率向上が期待できる。そこで,PWM型入力系の厳密化法の適用可能性について理論的な検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた通り,ハードディスク装置を模擬した実験装置を製作し,実機実験を行うことができた。さらに,実験結果から,機械共振による残留振動を低減した軌道とそうでない軌道のどちらの場合においても,回生機構による消費電力の低減が確認できた。このように,当初の研究計画で想定した各項目について検討できたことから,「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究によって,問題の定式化とエネルギー回生機構を有する制御回路と駆動アンプ,軌道設計法の考え方について,基本的な部分は完成し,シミュレーションだけでなく実機実験によりその有効性を確認することができた。最終年度は,実験装置を改良することで,より実際のハードディスク装置の特性に近づけることを検討する。また,エネルギー回生の効率を高めるための工夫や,制御性能の向上,また,制御対象の変動に対するロバスト性の評価などを行う。そして,実用化の際の問題点の洗い出しと解決策の検討を行う。
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Causes of Carryover |
実験装置を製作するための部品価格の変動などにより,次年度使用額が若干生じた。次年度に繰り越した額については,主に実験装置の改良のために使用する。
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Research Products
(1 results)