2016 Fiscal Year Research-status Report
不同沈下を考慮したコンクリート舗装版の応力解析法と長寿命設計法の提案
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16K14292
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 良一 広島大学, 工学研究院, 名誉教授 (20016702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 由布子 広島大学, 工学研究院, 助教 (30624564)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コンクリート舗装 / 不同沈下 / 長寿命設計法 |
Outline of Annual Research Achievements |
不同沈下の影響を考慮したコンクリート(Co)版の応力解析は、これまで板とバネの間に空隙要素を取り入れたモデルを用い、かつ空隙による版の自重応力をクリープの効果により低減するという考え方に基づいて行われてきた。しかし、前者の場合接地した要素でCo版下面の変位がばね要素上面の変位より大きく、実際にあり得ない現象が生じ、また後者の場合版がクリープ変形するのであって応力は低減されない、といった現象と異なる問題がある。そこで本研究は、不同沈下に起因するCo版と路盤との間に生じる空隙の影響を考慮した解析法の確立を目的とする。すなわちCo版下面とアスファルト(As)中間層上面との接地・剥離の判定を現象に即した手法の確立を目指す。平成28年度の研究実績の概要は以下のようである。 (1) 解析は路床、砕石路盤、As中間層の上に舗設された厚さ300㎜の連続鉄筋コンクリート舗装(CRCP)を対象とし、空隙はCRCPとAs中間層上面間に設けた。接触・剥離の判定をより厳密に行うため、自重、版上下面の温度差、輪荷重をそれぞれ1/100に分割し、増分荷重を順次負荷した。接触の判定はΔz/z≧1(z:載荷前の空隙量、Δz:減少した空隙量)を満たしたときに接触するとした。空隙要素のヤング係数は、接触前は微小値、接触後はAs中間層の値とした。これによりCo版下面の変位がAs中間層上面の変位を超えるといった従来の問題点を解決することができた。 (2)空隙量を0.8㎜、クリープ係数を2.0とした場合のクリープによる輪荷重直下の版下縁応力の低下率は8程度%であった。。 (3)横ひび割れ部のせん断剛性をひび割れのない場合の80%とした場合、輪荷重直下の非載荷側版下縁応力/載荷側下縁応力は80%強であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
沈下による空隙を有する版と路盤の接触の有無、自重+温度差によるそり応力+輪荷重および横ひび割れ部のせん断伝達を包括的に取り入れた3D-FEMの枠組みを構築した。 版とAs中間層間に空隙を有する場合のCo版の自重によるクリープ変形に加え、Co版温度差の作用と荷重作用による接触・剥離の解析が可能となった。自重によるCo版のたわみにクリープの影響を取り込み、これにより応力が低減することを確認した。 また、ひび割れ部の骨材かみ合わせによるせん断伝達モデルを組み込むことにより、非載荷側と載荷側の輪荷重直下の版下縁応力を示した。 以上から「概ね順調」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
東広島・呉道路(東呉)の明り部盛土、明り部切り土、トンネル内の切り土内に埋設された計器の測定値、特に平成29年に予定されている載荷試験から得られる応力、ひずみと解析値を比較し、妥当性や問題点を整理する。これに基づき、ひび割れ部の骨材のかみ合いによるせん断伝達、鉄筋のせん断抵抗、鉄筋の付着それぞれのモデルの改良を図る。 さらに、Co版の疲労解析を行い、東広島・呉道路(東呉)の設計時の疲労度と比較するとともにどの程度の版厚になるかを試算する。 以上をまとめ長寿命設計法の考え方を提案し本研究の総括とする。
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Research Products
(2 results)