2016 Fiscal Year Research-status Report
表層地盤の非線形挙動の影響を受けた観測基盤波から直達波を抽出する手法の提案
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16K14303
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| Research Institution | Nagoya University |
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Principal Investigator |
山田 正太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70346815)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅岡 顕 公益財団法人地震予知総合研究振興会, 地震防災調査研究部, 副首席主任研究員 (50093175)
野田 利弘 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (80262872)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 地震波 / 非線形 / 多次元波動伝播 / 弾塑性解析 / 水～土連成解析 / 粘性境界条件 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
地震工学において、入力地震動を決定することは重要な課題である。近年の地震観測網の発達により、これまでの記録を超えるような非常に大きな加速度記録が観測されている。これに伴い、構造物の地震に対する性能照査に用いられる入力地震動が巨大化している。一方で、基盤内で観測された地震波には表層地盤の非線形挙動の影響が含まれている。このため、その影響を取り除き、震源から伝わってきた波を把握した上で、性能照査に用いる地震波の参考にするべきである。しかしながら、表層では非線形応答に加え、多次元的な波動伝播が生じているため、その影響を取り除くことは容易ではない。
このような状況を鑑み、本研究では、基盤観測波を元に、慣性項を有する水～土連有限変形弾塑性解析コードを用いて震源からの直達波を推定する手法を新たに提案した。具体的には、半無限の一様な弾性基盤を仮定して得られる粘性境界条件に、新たな利用法を見出すことでこれを成し遂げることとした。
平成28年度の研究では、この手法を我々がこれまでに開発してきた解析コードに実装した上で、提案手法が実現可能であることや、組まれた解析コードが正しく機能することを確かめた。液状化が生じ得るような砂層を含む水平成層地盤上に、多次元波動伝播が生じるように盛土を与えた地盤モデルを作成し、検証に当たった。このモデル地盤に上昇波を入力する問題を順問題としてまず一般的な地震応答解析を行った。次いで、順問題で得られた解析領域底面の応答を入力値として順問題に入力した上昇波を推定する問題を逆問題として解析を行った。その結果、提案する手法で順問題の入力地震波が正しく推定できることを示した。また、阪神淡路大震災の際に、神戸港ポートアイランドで観測された記録を用いて、提案手法の推定精度について検証を試みた。その結果、これまで地震学で考えられてきた値と比較して妥当な値が得られることを確認した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では平成28年度内に以下の項目を実施することとしていた。
(1) 定式化および解析コードへの実装
(2) 解析手法のVerification
(3) 地震観測記録を用いたValidation
現在、(1)と(2)を完遂し、(3)に対して一つのケースで検証を行ったところである。これは当初の予定通りの進捗状況である。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、新たな観測記録を用いて提案手法のValidationをさらに進める予定である。提案手法が十分な推定精度を有していることを確かめた上で、同手法の応用に入る。
まずは、表層地盤の非線形挙動が観測記録に与える影響と、多次元波動伝播が観測記録に与える影響を系統的な解析を通じて把握することを試みる。
それらの知見を元に、巨大観測記録に対して震源からの直達波を推定し、入力地震動の適切なレベルについて議論を実施する。
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| Causes of Carryover |
申請書に記載した研究経費に比べて、支給額が低かったため、研究計画の見直しを図った。その一環として、当初計画していた実験的研究を計画から外し、数値解析によりこれを補うこととした。また、これに伴い、実験用消耗品の購入を取りやめ、次年度に実施予定の解析的研究費用に充てることとした。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度からの繰越金を数値計算結果を整理・保管するためのハードディスク代に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)
