2016 Fiscal Year Research-status Report
気象再解析と物理法則に基づく超長期河川流量の模擬作成と100年確率流量の内挿推定
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16K14309
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萬 和明 京都大学, 工学研究科, 助教 (90554212)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気再解析データ / 分布型水循環モデル / 河川流量 / 擬似作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,限られた年数しか存在しない気象データから,多数年におよぶ河川流量データを擬似的に作成する手法の開発に取り組むことを目的としている.当該年度では,タイ国チャオプラヤ川上流のブミポンダム上流域を対象に多数年におよぶ河川流量データを擬似的に作成した. 気象データとして,気象庁55年長期再解析JRA-55を用いた.河川流量の推定に大きな影響を与える降水量と気温について,2003年から2012年の月単位の値を対象に時間相関を分析し.その結果,降水量と気温の偏差の相関は8月と9月の間が最も小さかった.観測値も同様の結果を示したため,8月と9月の間で大気場を組み換え,多数年におよぶ大気場を擬似作成した. 擬似作成した100年分の大気場と,連続した通常の10年分の大気場それぞれを入力条件として,分布型水循環モデルを用いて河川流量に変換した.擬似作成した100年分の大気場から得られた年最大日流量の非超過確率分布は,通常の10年分の大気場から得られた年最大日流量の非超過確率分布を補間するものとなっていた.また,擬似作成した年最大日流量には,通常の方法で得られる年最大流量よりも大きな値を計算していた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度当初は,長期間におよぶ気象データを模擬作成する手法を確立することを計画していた.現状は,多数年におよぶ大気場の擬似作成を行ったばかりでなく,それらを入力条件として分布型水循環モデルを用いて河川流量を求めることができている.さらに,大気場を擬似作成することの妥当性や,擬似作成した大気場から求めた河川流量の解釈といった研究にも着手している.
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Strategy for Future Research Activity |
擬似作成した大気場から求めた河川流量に対して水文統計分析を行い,得られた値がどのような意味を持つのか,あるいは実務に活用しうる値となりえるのかを分析する.
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Research Products
(2 results)