2016 Fiscal Year Research-status Report
ストリートビューによる衛星測位精度推定マップの構築とQZSSの利用可能性検証
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16K14316
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
長井 正彦 山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (20401309)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 衛星測位 / GNSS / 準天頂衛星 / 画像処理 / 測位シミュレーション / Google Street View |
Outline of Annual Research Achievements |
都市部でのGNSS(全地球航法衛星システム)の利用において、高層ビルや高架橋等による遮蔽によって生じる可視衛星数の減少や可視衛星の配置劣化、マルチパスによる測位精度劣化を評価する。本研究では、一般的に公開されている地上の写真(Google Street View)から、建物や高架橋などの影響を推定し、都市部での効果的な衛星測位利用のシミュレーションを行う。GNSSについては、米国、欧州、ロシア、中国、さらには日本やインドでも測位衛星の運用が開始され、特にアジア地域は、多くの次世代測位衛星が利用できる特徴的な地域である。本研究の成果は、測位精度劣化を評価する環境の整っていないアジア地域で利用することを踏まえて、バンコクとマニラを対象地域に絞り研究を行う。 平成28年度は、公開されているGoogle Street View画像を取得し、天空写真を合成について検討した。Google Street View画像は、水平方向に0度(真北)から45度おきに8方向の画像が取得されており、垂直方向には、水平、45度、真上の画像撮影されており、1箇所に対し17枚の画像があるが、天空写真の合成には、垂直方向に45度と真上の画像のみで合成可能であった。測位衛星の軌道情報に関しては、SGP4 (Simplified General Perturbations Satellite Orbit Model 4)を利用した。天空写真と撮影された地点の測位衛星の軌道上を重ね合わせて、高層ビルや高架橋等の影響による可視衛星数や衛星配置を推定した。 バンコクにおいて、車にGNSS受信機を搭載し試験的な走行実験を行った。可視衛星数や衛星配置を推定結果の検証を行った。Google Street View画像による「シミュレーション」と「実測」を比較・検証し、衛星配置や合成写真において、非常に近い結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展したと考えられる。進展した理由については、Google Street View画像のデータ取得や、天空写真の合成などは、Panorama Tools (http://www.panoramatools.com/) というオープンソースが利用でき、当初の計画より、比較的容易に実装することができた。SGP4のライブラリにより実装ができた。上記の理由より、高層ビルや高架橋等の影響による可視衛星数や衛星配置のシミュレーション構築が、順当に進んだ。 また、バンコクおよびマニラにおいて実測の検証実験については、平成29年度に実施する計画であったが、現地の協力者のサポートもあり、バンコクにおいては、平成28年度に試験的なデータ取得を行う事ができた。これにより、平成29年度の現地調査の準備が整い、スムーズに研究を継続・開始することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、バンコクおよびマニラにおいて実測の検証実験を行い、Google Street View画像による衛星測位シミュレーションの検証を、実測値との比較により実施する。走行実験により得られた実際の測位精度と、Google Street View画像から合成された天空写真による測位衛星の可視数や配置の推定結果を比較し、構築したGNSS測位精度推定マップの評価を行う。 GNSS測位精度推定サービスを構築し、全世界を対象にサービスの公開を検討する。本研究によって開発された手法やサービスは、Google Street View画像が提供されている地域であれば、世界中どこでも、応用が可能となるので、アフリカや、南米など様々な地域においての利用可能性についても検証する。 日本のQZSS(準天頂衛星システム)については、平成29年度6月に打ち上げが決まっており、運用される衛星数が増える。今後、アジアにおけるQZSSの利用ニーズが高まってくると考えられ、QZSSを効率良く利用できる場所や時間帯なども評価できる様に、本研究の成果を検討する。
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Causes of Carryover |
物品費に関して、平成28年度は、本研究で仕様する低価格のマルチGNSS受信機の選定に時間を要した。平成28年度後半に受信機を選定し、物品オーダーしたが納品に時間がかかり、平成29年度のはじめの納品になった。また、平成28年度は、簡易試験のみを行ったためデータ数が少なく、データ整理等の謝金が想定より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に購入予定の低価格のマルチGNSS受信機を購入する。平成29年度は、実証実験を実施するため、低価格のマルチGNSS受信機を利用する。また、平成29年度は、実証実験をバンコクとフィリピンにて行うため、実験のための補助費、データ整理補助のための謝金として使用する計画である。また、平成29年度は、成果発表を行う予定であり、論文投稿料として使用する。
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Research Products
(3 results)