2018 Fiscal Year Research-status Report
交流インピーダンス法を用いたコンクリートの電気化学的断層スキャンに関する基礎研究
Project/Area Number |
16K14335
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
福山 智子 立命館大学, 理工学部, 准教授 (60587947)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 誘電緩和測定 / 電極配置 / インピーダンス / 表面電極 / 平行電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,物質の断層構造を導電率などの分布から画像化する電気インピーダンストモグラフィ(EIT)をコンクリートにおいても実現するため,試験体表面に設置した電極を用いた交流インピーダンスの多点測定により,コンクリート断層の幾何学的・電気化学的イメージングデータを取得する手法の構築を目的としている。 これまでの検討では,コンクリートを構成する材料のインピーダンス周波数特性を明確にするため,一対の電極の間に試験体をおく平行電極配置を採用して様々な材料を埋設したモルタル試験体を対象に測定を行い,試験体を構成する各種材料の導電・誘電率がインピーダンスの周波数分布に及ぼす影響について整理した。 ここで,実際のトモグラフィ情報取得のためには,試験体表面に複数の電極を設置した上で対となる電極間におかれた材料のインピーダンスを測定することになるが,この対となる電極の選定にはいくつかのパターンが考えられる。前述の「平行電極配置」のほかに,一対の電極が同一平面上に存在する場合(表面電極配置)も考慮が必要であり,この場合の測定は電場の印加が直線にはならないことから,両者のインピーダンス特性が一致しないことが予想された。 これを踏まえ,今年度は,電極配置がセメント系材料のインピーダンスに及ぼす影響に関して平行電極配置,表面電極配置による測定結果の比較を行った。 その結果,各電極配置を用いた位相差の周波数分布は明らかに異なっており,これは電場の印加方向に依存して材料内の導電電荷や感応電荷の移動方向が異なるために,同一試験体であっても各周波数における抵抗やキャパシタとしての振る舞いに差異が生じることを意味する。今後はこの現象を活用して測定電極の本数低減やトモグラフィ分解能の向上についても検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関異動により研究環境構築に時間を要し研究に遅滞が生じたため,研究期間を延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として以下を考える。この結果をもとにコンクリートの電気インピーダンストモグラフィ測定手法を構築する。 (1)平行電極配置と表面電極配置による測定に差異が生じるメカニズムの解明と,そのメカニズムに基づく材料の微細な幾何学的情報の抽出に関する検討を行う。 (2)電極断面積の影響に関する検討:試験体表面に接触する電極の面積を変えることで,測定対象のサイズに対する単位面積あたりの最適電極本数を明らかにする。 (3)電極同士の近接がインピーダンス測定結果に及ぼす影響:(2)に関連し,解像度の高いトモグラフィを取得するためには単位面積あたりに多数の電極を配置する必要があると予想されるが,電極同士の近接もまたインピーダンスに影響を及ぼす可能性が想定されることから,影響の有無について検証し,影響がある場合はその条件,程度について検討する。
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Causes of Carryover |
所属機関異動により研究環境構築に時間を要し研究が遅滞したため,次年度使用額が生じた。
本研究では試験体を対象とした実測が重要となるため,コンクリート試験体作製費用,電極用材料費,実験用消耗品費に助成金を使用する。 測定したデータの解析に最新の知見を適用するため文献購入費を,また成果発表のための学会大会参加費,論文投稿費を計上する。
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Research Products
(3 results)