2016 Fiscal Year Research-status Report
斜張力破壊する鉄筋コンクリート部材の破壊時内部応力とせん断強度評価
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16K14342
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日比野 陽 広島大学, 工学研究院, 准教授 (50456703)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート構造 / 軸力比 / せん断破壊 / モールの応力円 / コンクリート圧縮強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート部材の構造実験を実施し,コンクリートの内部の応力度を調査した。試験体は中層鉄筋コンクリート造建物の1階の柱を想定し,所定の軸力を与えながら,水平力を与え,逆対称載荷形式の載荷を行った。曲げ破壊が生じないよう主筋とせん断補強筋を配筋した。せん断補強筋比は0.2%程度とした。試験体は軸応力度の上昇が内部コンクリートの応力度に与える影響を考慮するため,軸力をパラメータとした。軸力比は0, 0.2, 0.3とした。コンクリート強度は80MPaを目標として,軸力比が異なる計6体の試験体の実験を行った。 コンクリート内部のひずみ度は鉄筋コンクリート部材の内部に3軸ひずみゲージを貼付したアクリルを埋め込み計測した。コンクリートの応力度の推定は材料実験時の応力度-ひずみ度関係曲線を用いてコンクリートのひずみ度から求めた。 実験結果より計測したひずみ度からモールの応力円を描き,破壊時のコンクリートの応力をモールの応力円から推定することで,以下の知見を得た。 (1) 高軸力を受ける部材のモールの応力円の主応力はいずれも圧縮となる。(2) せん断引張破壊する部材のモールの応力円はコンクリートの引張強度に達してひび割れが生じた後に破壊する。(3) せん断斜張力破壊する部材のモールの応力円は引張破壊条件に接することなく,モールの応力円がクーロンの破壊線に達した時点でせん断斜張力破壊する。(4) モールの応力円の初期位置を考慮し,軸応力度の推移を求め,モールの応力円の拡大を推定することで,破壊形式の推定ができる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時に予定した実験を実施し,コンクリートの内部の応力度の変化を計測することができており,破壊時のコンクリートの応力度から脆性的に破壊する鉄筋コンクリート部材の破壊性状が解明できつつある。考察がやや不十分であるものの概ね順調に研究が進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
コンクリートの応力度が妥当であるかどうかの検証が必要であることから,コンクリートの内部の応力度を別の方法から推定する。また,斜張力破壊時のせん断強度を精度良く推定する方法について検討を行う予定である。さらに実大に近い試験体の実験を実施し,せん断ひび割れ強度とせん断終局強度を元に斜張力破壊時のせん断強度における寸法効果の影響について考察を行う。寸法効果は脆性的な破壊時においてコンクリートの応力度への影響が大きいと推察されるためである。
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