2016 Fiscal Year Research-status Report
マルチコプターの自動操縦による大空間の空間照度の3次元的連続測定技術の開発
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16K14345
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 広隆 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (60286630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋月 有紀 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (00378928)
岩田 三千子 摂南大学, 理工学部, 教授 (70288968)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マルチコプター / 連続測定 / 移動測定 / 照度分布 / スポーツ施設 / 施工ミス / 空間照度 |
Outline of Annual Research Achievements |
球技場等のスポーツ施設において、施工精度の問題で設計段階で予測された光環境性能が竣工時に確保されていない箇所を把握する技術を確立することを目的とし、大空間の空間照度の連続的把握を行うために、照度計を装着したマルチコプターにより空間照度を測定することを試みた。 まず予備的検討として、手作業で照度計を静止させて測定する静止測定と、マルチコプターに装着して測定する移動測定を行い、同一位置における照度の値を比較して移動測定の誤差を検証した。この結果、移動測定でも十分な精度が確保できることが明らかになった。次に、上下方向と水平方向の移動測定を行い、水平方向の移動のほうが正確なデータが得られることを明らかにした。 これらの結果に基づき、体育館における5m位置の水平断面における水平面照度分布と鉛直断面における水平面照度分布を描画することができた。特に鉛直面断面における照度分布はこれまで作成が困難であったものであり、大きな成果であると考えられる。また、これまでマルチコプターを用いた照度の測定研究は、マルチコプターを静止させて測定したものだけであり、初めて移動測定により連続測定を行うことに成功した意義は大きいと考えられる。 続いて、ベクトル照度の測定を試みた。使用したマルチコプターの積載重量が十分ではなかったため、照度計は6つではなく2つずつ同時に装着することとし、3回の測定で上下左右前後の6方向の照度を測定することとした。これについても安定してマルチコプターを飛行させてデータを得ることができた。 現時点で、マルチコプターの位置の把握が大きな課題となっており、今後画像解析やセンサーの活用などにより位置の把握精度を向上させたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画に示した内容は概ね遂行できたと考えている。しかし、屋内での測定であるために、マルチコプターの位置の特定にGPSの信号を用いることができなかっため、マルチコプターからひもを垂らして高さと水平位置を特定しており、誤差を生じる要因となっている。また、当初はGPS機能を用いて自動飛行によりマルチコプターを飛行させる予定であったが、これも不可能となり、リモートコントロールで飛行させており、このことも誤差の要因となっている。 一方で、申請した予算額から削減された分、マルチコプターの性能を低下させ、照度計の購入個数を減らしたため、6方向を同時に測定することは不可能となった。 後者については代替手段はないと考えられるが、前者については画像処理やセンサーの活用等により位置把握の精度を向上させたり、把握した位置情報を記録して測定密度が低い場所を可視化することで操縦者の負担を軽減するなど、様々な改善手法が存在するものと考えられる。今後そのような方法を採り入れ、誤差を低下させていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況にも記したように、位置をマルチコプターから垂らしたひもを用いて求めていて誤差の原因になること、さらに運転の自動化ができないことが現時点の大きな課題である。これにより、操縦者のスキルが精度に影響を与えてしまうこと、測定のたびに誤差の大きさが異なることなどの問題が生じる。これに対して、2016年度の研究においても、位置と時刻を照合させるポイント数を増加させたり、測定データから信頼性を判別する方法を採り入れるなどの工夫を試みたが、根本的な解決には至っていない。体育館の中にGPSのアンテナを設置すれば解決する問題であるが、費用的に不可能であるため、前述の画像処理技術やセンサーの活用について検討を行いたいと考えている。 また、2016年度は測定技術の確立に注力し、高い位置の水平断面の水平面照度分布図や鉛直断面の水平面照度分布図を作成するなど大きな成果を上げたが、当初の目的である「施工精度の問題で設計段階で予測された光環境性能が竣工時に確保されていない箇所を把握する」点を考慮すると、照度分布を作成するだけでは十分な成果であると考えることはできない。今後は、照度分布図を作成するだけでなく、得られた照度分布図を解釈し、問題箇所を抽出して可視化する方法についても確立したいと考えている。
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Causes of Carryover |
マルチコプターの選定に時間がかかり、GPSが利用できなくないことによる問題点の把握が遅れたため、これらの問題点への対応の一部は2017年度にまとめて行うこととした。このため、予算の一部を2017年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マルチコプター飛行時の位置の把握精度を上げること、これを基に操縦者の負担を軽減するため、画像処理技術やセンサーの利用などによる検討を行う。2016年度繰り越した分についてはこのために使用する。
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Research Products
(9 results)