2016 Fiscal Year Research-status Report
室内環境解析用の数値人体モデルに統合する生理的薬物動態モデルの開発
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16K14346
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 一秀 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (20329220)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生理的薬物動態モデル / 数値気道モデル / 計算流体力学 / 経気道曝露 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,室内空気環境設計のための新たな健康影響予測評価モデルの開発に取り組む.特に計算流体力学CFDと連成した数値人体モデルに組み込み可能な生理的薬物動態解析 (Physiologically Based Pharmaco-kinetic, PBPK)モデルの開発を目指すものである.研究初年度である本年は,以下の4課題に取り組んだ. 1. 気道モデル内の気相濃度-粘膜上皮上の吸着相濃度の分配定数推定:気道内の気相側と粘膜上皮との界面におけるガス状汚染物質の輸送現象と平衡濃度は,いわゆる吸着等温式と同様の数理系で表現可能であり,粘膜上皮上の濃度境界層を精緻に数値解析することを前提に,線形モデルを適用し,文献よりホルムアルデヒド等の化学物質を対象にモデル定数を同定した. 2. 気道構成組織のコンパートメント化と各部位の化学物質輸送モデルの作成:気道モデルを鼻腔,口腔,咽頭,気管,気管支の5部位に分割し,各部位を粘膜上皮,粘膜下組織,血流からなるコンパートメントモデルで表現した上で,粘膜上皮内で脱水素酵素による代謝クリアランス,組織内高分子との非特異的反応,非特異的結合によるクリアランスの他,粘膜上皮内を拡散移動する数理モデルを開発した. 3. 数値気道モデル用のPBPKモデルの作成:気道内部位別のコンパートメントモデルを数値気道モデルに適用し,気道内のCFD解析と連成した生理的薬物動態解析(PBPK)モデルを完成させた. 4. 数値気道モデル内のCFD解析とPBPKモデルの連成解析手法の確立:数値気道モデル内のCFD解析による流れ場・汚染物質濃度場解析,分配係数を用いた線形吸着モデルを統合し,粘膜上皮上の不均一濃度分布,沈着フラックス分布の予測法を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に従い,着実に研究を進めている.ホルムアルデヒドを対象としたモデルパラメータ同定,モデル室内での経気道暴露評価などの予備解析も進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い,以下の研究課題に取り組む計画である. 5. PBPKモデルと人体熱モデルの統合手法の検討 6. 数値人体モデルとの統合ならびに室内環境解析手法との統合 7. 高濃度短期暴露・低濃度長期暴露問題をケースとした感度解析
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Causes of Carryover |
当初予算計画に従い研究費を使用したが,若干の次年度使用額が生じることとなった.この主因は当初平成28年度に予定しいたソフトウェアの保守料金の支払いが平成29年度になったことによる.研究は計画に従ってほぼ順調に進んでおり,次年度の予算計画にも大きな変更は必要ないと判断している.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額が発生したものの,若干であり,当初計画に従い着実に研究を推進する予定である.
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