2016 Fiscal Year Research-status Report
白色と黒色の微粒子の混合分散液の泳動電着による構造色コーティング法の開発
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16K14388
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片桐 清文 広島大学, 工学研究院, 准教授 (30432248)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | セラミックス / 構造色 / 泳動電着法 / シリカ粒子 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度はまず様々な粒径を有する単分散シリカ粒子を用いて泳動電着によるコロイドアモルファス集積体の形成を行った。印加電圧、電着時間などの電着条件が得られる粒子集積体の状態に大きな影響を及ぼすことが明らかになり、電着膜におけるシリカ粒子の集合形態が結晶構造とアモルファス構造になる条件を見出した。また得られる電着膜の膜厚も印加電圧、電着時間で制御可能であることが分かった。しかしながらこれらの膜はほぼ白色に見え、構造色は僅かにしか確認できなかった。 そこで単分散シリカ粒子分散液に黒色物質としてカーボンブラックナノ粒子を添加して電着を行ったところ、鮮やかな発色の構造色を呈するコーティング膜が得られた。カーボンブラックナノ粒子の添加量の最適化も行った。また、粒径の異なるシリカ粒子を用いることで様々な色で発色させることにも成功した。反射スペクトルの測定によれば、結晶構造を有するコーティング膜は反射ピークが測定角を変化することで大きくシフトすることが明らかになり、いわゆる角度依存性のある構造色のコーティング膜であることが分かった。これに対し、アモルファス構造の粒子集合形態を有するコーティング膜では反射ピークが測定角を変化させてもそのシフトは小さく、いわゆる角度依存性の小さい構造色を呈するコーティング膜となっていることが分かった。さらに、平板基板のみならず、複雑かつ曲面のある表面への構造色コーティングが泳動電着によって可能であることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、鮮やかな構造色を呈するコーティング膜を泳動電着法で作製でき、また、粒径の異なる粒子を用いることで様々な色で発色させることに成功した。 これに加え、電着条件を制御することで、角度依存性のある(ギラつきのある)構造色と、角度依存性の小さい(マットな)構造色を作り分けることにも成功し、また平板基板のみならず複雑かつ曲面のある表面への構造色コーティングも達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
実施計画に示したとおり、粒子の表面電荷の制御によって従来のアノード型電着ではなく、よりメリットの多いカソード型電着による構造色コーティングを実現する。さらに「構造色をより実用的な塗装に応用する」ことを実現するため、ひっかきや摩擦に耐性を有する堅牢なコーティング膜とするための検討を実施し、研究のとりまとめを行う。
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Causes of Carryover |
当初はゾル-ゲル法によって様々な粒径を有する単分散シリカ粒子の合成を行う予定であったが、連携研究者(名古屋大学 竹岡敬和 准教授)から、これらの提供を受けることが可能となったため、その合成等に用いる予定であった試薬やガラス器具等の購入費用を軽減することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画より研究が進展しており、成果も大きな注目を集めている。したがって得られた成果を国際会議で発表することや、オープンアクセスの論文誌に投稿し、成果のさらなる普及を行うことを計画している。
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