2016 Fiscal Year Research-status Report
全固体アルカリ金属電池を実現するための固体界面デザイン
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16K14394
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
林 晃敏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10364027)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アルカリ金属負極 / 全固体電池 / 固体界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、全固体アルカリ金属電池の実現にむけて、金属Li電極-固体電解質間の固体界面を構築し、微細組織観察や構造解析を行った。Li/Li3PS4電解質界面付近の構造をSEMとXPSを用いて調べた。界面付近の断面SEM像から、界面において組成変化のコントラストや形態変化が見られないことがわかった。一方、S2pおよびP2p XPSスペクトルの結果から、界面近傍においてのみ、Li2SやLi3Pの存在が確認され、金属LiによってLi3PS4の一部が還元されていることがわかった。Li/Li3PS4間にバッファ層として60nm厚のAu薄膜を挿入した場合においても同様に、界面において還元分解生成物の存在が確認された。どちらの場合も界面における還元分解生成物層は薄く、長期間にわたって安定に存在することが示唆された。 また全固体Li対称セル(Li/Li3PS4/Li)を100℃において定電流サイクル試験を行ったところ、室温作動時と比較して、Liの析出・溶解挙動が著しく改善することがわかった。界面におけるLiの析出形態をSEMにより観察したところ、室温で作動させた際には突起したLiの析出が観察されたのに対して、100℃作動時には表面の凹凸が抑制されていることがわかった。界面へAu薄膜を挿入した対称セル(Li/Au/Li3PS4/Au/Li)は、Auを挿入していない場合と比較して約4倍大きな1.4 mA cm-2の電流密度においても、リチウムの析出・溶解を繰り返し行えることがわかった。以上の結果から、作動温度や界面バッファ層の挿入によって、リチウムの利用率を向上させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究において、界面におけるLi析出・溶解時の形態変化が、リチウムの利用率に大きく影響することがわかった。界面の形態は、作動条件や界面バッファ層の有無によって変化することが明らかになった。また界面評価手法として、深さ方向XPS測定の条件を確立した。今後、様々なバッファ層を挿入した際の界面の形態や構造を調べていくことによって、Liの利用率向上に適した界面を見出すことができると考えられる。よって、本研究は順調に進行していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
Liの利用率向上に適した固体界面形成を目的として、界面に挿入するバッファ層の種類や厚みを検討するだけでなく、固体電解質の組成や形態がLiの析出・溶解挙動に与える影響についても調べる。界面評価は、XRDやRaman、SEM、XPSなどの構造解析手法に加えて、交流インピーダンス法による抵抗分離に取り組む。また全固体金属ナトリウム電池の構築に向けて、Na/Na3PS4界面の構造とNaの析出・溶解挙動の相関について調べ、作動条件やバッファ層の挿入による特性改善について検討する。最終的には、LiとNaが析出・溶解する際の界面挙動を比較することによって、それぞれのアルカリ金属界面における支配因子を見出し、界面の設計指針を提案したい。
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Research Products
(9 results)