2016 Fiscal Year Research-status Report
ベルト型高圧装置による超高温度発生技術の開発と新規固溶体の創製
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16K14395
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
谷口 尚 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (80354413)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ベルト型高圧装置 / 高温発生 / 断熱材 / 結晶成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、3000℃領域の高圧高温合成実験を可能とするための技術開発を目的としている。ベルト型高圧発生装置はダイヤモンド単結晶、焼結体合成等の工業利用に活用されておいるが,通常の合成条件は5~6万気圧,1500℃程度である。試料容積を制限して発熱部分から高圧容器への断熱を工夫することで更なる高温の発生(2000℃)が可能となるが、高温度下の長時間の結晶成長(40時間以上)や更なる高温の発生には技術開発要素が多い。 平成27年度は黒鉛発熱体周囲を六方晶窒化ホウ素(hBN)と酸化マグネシウム製断熱部材の複合化により、2500℃以上の比較的長時間の定常的な高温実験を行った。 更に高温度の発生では同様の試料構成において測温方法の工夫を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
円筒形状の黒鉛発熱体内部の試料カプセルはhBNスリーブを用い、内部に遷移金属ダイカルコゲナイド結晶粉末を充填し圧力4万気圧、2300℃室温まで48時間まで徐冷することにより融掖からの徐冷による結晶成長を行った。現状で5mm程度の多結晶インゴットが回収され、個別の単結晶ドメインサイズでは1mm程度の良質結晶が得られた。 高温発生では投入電力からの推定により3000℃の発生実験を行った。当該温度は熱電対による測温ができないため、発熱体の外周部に熱電対を配置したが、設置部位の変動による中心部分の温度の定量的な評価は困難であった。高融点金属の既知の融解挙動を参照するなど、温度評価の為の工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、2000℃以上の高温下からの徐冷法による結晶成長を進めると供に、当該高温領域での長時間定温制御によるフラックス法による結晶成長にも挑む。 高温発生では3500℃領域の到達を目指した更なる電力の投入を進めるが、温度評価技術の向上が必要であり、高融点金属の融解等の参照実験を進める。
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Causes of Carryover |
高圧高温発生実験では、予期せぬ爆発的な圧力開放(ブローアウト)を抑制して、基本となる高圧発生部材、とりわけシリンダーコアの損傷を如何に回避するかが重要である。そのため、既存レベルを上回る圧力、温度発生のための技術開発では試料構成の最適化を少しずつ進める必要があり、ある程度目処が立った段階で定常的な試料構成の確定に至る。本研究提案では発熱体周囲の断熱が重要であり、そこで用いる六方晶窒化ホウ素、酸化マグネシウム等の部材の寸法を選定するための試行錯誤が必要であった。前者は焼結体丸棒から、後者は板状焼結体からの切り出しで、メーカーによる受注生産で相当の費用と製作期間を必要とする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通りH28年度には少量の断熱部材の購入により試行錯誤を行う必要があり、定常化のための相当量の試料製作の為の研究費を本年度に繰り越した。本年度は前年度の試行実験により選定した断熱部材を購入し、定常的な高温合成実験(2500℃領域)と、本格的な高温発生実験(3500℃領域)を目指す。
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