2016 Fiscal Year Research-status Report
光学顕微鏡の回折限界を超える高規則配列ナノレンズアレイの創製
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16K14396
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菊地 竜也 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (60374584)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アノード酸化 / ポーラスアルミナ / ナノレンズ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、ナノ/サブミクロンサイズの微小レンズが無数に規則配列した「ナノレンズアレイ」を作製し、回折限界を超えるナノイメージングへの応用に挑戦する。平成28年度は、ナノレンズ作製プロセスの「型」となる高規則ナノディンプルアレイの作製を試みた。 高純度アルミニウム試料を電解研磨したのち、各種酸性水溶液中に浸漬してアノード酸化を行うことにより、ポーラス型アノード酸化皮膜を作製した。その後、クロム酸/リン酸混合溶液を用いて酸化皮膜のみを選択溶解することにより、アルミニウムディンプル構造を得た。アノード酸化電解質として、アセチレンジカルボン酸、エチドロン酸、ヒ酸、リンゴ酸、硫酸水素ナトリウムなどさまざまな酸性水溶液を用いた検討を行ったが、中でもエチドロン酸を用いたアノード酸化により、極めて規則的に配列したポーラス構造が形成できることを明らかにした。高規則ポーラスアルミナの規則性は水溶液濃度、温度および電圧に大きく依存し、アノード酸化におけるジュール熱発生の抑制と放出を促すために水溶液の高速撹拌が重要であった。アノード酸化条件の精緻な制御によってポーラス構造の周期を400-640 nmに種々変化できること、その後のクロム酸/リン酸処理によって同様の規則性・周期をもつナノディンプルアレイを形成できることを明らかにした。ナノディンプル形成試料の表面をAFMにより測定すると、その表面はナノレベルで凹凸の無い理想的な曲面をもつことがわかった。これは、アノード酸化におけるポーラス皮膜の成長がディンプル表面で等方的に生じるためと予想された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実施計画内容である高規則ナノディンプル構造の形成を達成したため、順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果により作製したナノディンプル構造を型とし、ポリマーナノレンズアレイを作製する新規微細加工プロセスの開発に挑戦したい
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