2017 Fiscal Year Annual Research Report
Quantitative prediction of brittle crack arrest toughness based on microstructural information of steel by model synthesis
Project/Area Number |
16K14410
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴沼 一樹 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30611826)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 劈開亀裂伝播 / アレスト靭性 / 微小試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度では,平成28年度までに開発したモデルの精度を改善するために,劈開亀裂伝播の微視的機構および最も基本的な組織単位である粒径が劈開亀裂伝播抵抗に及ぼす影響に関する実験的な検討を実施した. 結晶粒径は微視組織を記述する最も基本的な特徴量であるが,これと劈開亀裂伝播抵抗との関係に関して必ずしも系統的な実験による定量的な整理は行われていない.そこで,化学組成が同一とみなせ,結晶粒径のみが異なる3種類の鋼を用いて複数の温度におけるDCB試験による劈開亀裂伝播抵抗の評価を行った.材料の劈開亀裂伝播抵抗の指標として局所限界破壊応力を採用し,これを試験結果として得られた破壊発生時の切り欠き部開口変位と亀裂停止位置を考慮した有限要素解析によって評価した.その結果,結晶粒径の大きい鋼ほど劈開亀裂伝播抵抗が大きいということが実験的に示された. 次に,劈開亀裂伝播における破面形成エネルギーの支配因子と考えられるティアリッジ形成に必要なエネルギーを定量化するために,粗大結晶粒を有する単相材を使用した微小試験を提案した.具体的には,マイクロスケールの微小な試験片を作成し,隣接する2個の結晶粒内に粒界へ到達する鋭いスリット状の切欠きをFIBで加工することで劈開面を模擬し,引張試験を実施するものである.加工した切欠き間の距離を変化させることで,ティアリッジ形成に及ぼす劈開破面間距離の影響を定量化した.この結果より,ティアリッジ形成に伴うエネルギー吸収量は劈開面間距離の2乗に比例するという実験式を得た.これは連続体力学に基づく近似式と整合するものであり,粒界近傍の微視的な影響は軽微であることを示唆するものである.
|
Research Products
(2 results)