2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロピラー圧縮試験を利用した異相界面強度の実験的測定法の確立
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16K14412
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高田 尚記 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (70432523)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイクロピラー / 微小試験片 / 強度 / 変形 / 単結晶 / アルミニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロピラー圧縮試験を双結晶試験片に適用するためには,先ず単結晶マイクロピラーで測定される強度のサイズ効果を理解する必要がある.平成28年度では,予備実験としてα-Al(fcc)単結晶マイクロピラーの強度に及ぼす寸法及び試験片形状の影響を調べた. 用いた試料は,純度99.99%のアルミニウムに300℃/1時間焼鈍を施したものである.純アルミニウムから1μmから10μmと直径の異なる円柱形状の単結晶マイクロピラーを作製した.これら単結晶マイクロピラーの応力-ひずみ曲線を,平板圧子を装着したナノインデンターを用いた圧縮試験により測定した. その結果,α-Al単結晶マイクロピラーは,明瞭な強度の試験片寸法依存性を示した.試験片直径10μm以上の試験片は連続的な降伏を示し,その後約25 MPaにて応力は一定となった.これらの応力-ひずみ曲線の特徴は,従来のミリメータサイズの単結晶試験片における低ひずみ域(ステージI)の挙動に比較的良く一致した.変形に要する応力は試験片寸法の減少に伴って上昇し,その応力上昇は試験片直径1~2μm間で顕著である.また試験片直径の小さい試験片は一定応力のひずみ増大(strain burst)を周期的に示した.この傾向は試験片直径の減少に伴い顕著になり,その応力は増大する傾向にある.これは,局所的なすべりが発生することに対応する .以上の結果より,試験片直径が小さいほど降伏応力は大きい傾向にあり,直径約1μmから10μmの範囲においてα-Al単結晶の強度のサイズ効果があることを確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
28年度は,申請書の計画通りに進行し,次年度の双結晶への展開に資する基礎データを確立することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
α-Al/化合物双結晶マイクロピラーの作製には,α-Al/Zn2Mg-η共晶組織(層状形態)を利用する.その合金組成は,予備実験によってAl-18.5Mg-34Zn(at.%)と見出している.本サンプルから集束イオンビームを用いて,α-Al/Zn2Mg-η双結晶マイクロピラーを作製することは可能であり,その圧縮試験を前年度に確立した手法を用いて行う.
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Causes of Carryover |
本年度の用いた材料は,純アルミニウムのみであったが,次年度の双結晶マイクロピラー試験片の作製のための,合金インゴット溶製のための溶解原料及びそれらを溶製インゴットの元素分析に費用が必要と予測されるため,次年度の必要経費を見据えて残した.また本年度の成果を公開するために,情報収集以外の成果発表の旅費の必要性が見込まれるため,本年度の物品購入を最低限に抑えた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度繰越の予算は,マイクロピラー作製のための集束イオンビーム装置使用料だけでなく,合金インゴット溶製のための溶解原料及びそれらを溶製インゴットの元素分析費用に使用する.また,成果発表のための旅費にも補てんする.
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