2016 Fiscal Year Research-status Report
骨へのひずみ遮蔽を生じないインプラント創製のための配向性を基軸とする設計指針構築
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16K14418
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石本 卓也 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50508835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 貴由 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30243182)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インプラント / ひずみ遮蔽 / アパタイト配向性 / 骨細胞 / 減荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨へのひずみ遮蔽による周囲骨の強度低下、結果としての骨折を生じないインプラントの実現が急務であるものの、未だ実現には至っていない。その要因として、骨への負荷ひずみ量と骨強度との関連性が明らかになっておらず、さらに、骨強度を支配する骨アパタイト配向性の重要性がインプラント設計の際に認識されていないことが考えられる。 ひずみ遮蔽の影響を生じないインプラント創製のための指針作成に関する基礎的知見を獲得することを目的として、インプラント非埋入モデルを用いた骨配向性に対する低応力状態の影響の解明を試みた。坐骨神経切除により大腿骨を減荷すると、骨量が著しく低下したのみならず、減荷中に形成された骨組織中における骨長軸方向(通常負荷時の主ひずみ方向に相当)に沿ったアパタイト/コラーゲンの優先配向性が、坐骨神経切除していない逆側のコントロールよりも有意に低下していた。さらに同一部位にて骨細胞の形態・配列の異方性も著しく低減していた。以上より、低ひずみ状態が骨の異方的微細構造さらには力学機能を等方化することを初めて明らかとした。すなわち、骨はひずみ低減状態下においても、その環境に対して適応変化をすることが示された。これは、インプラント埋入後のひずみ遮蔽(低減)状態により骨質が劣化することを示唆する。 次年度は、実際のインプラント埋入下での有限要素解析と配向性、力学機能解析を実施し、負荷ひずみ量と配向性低下の関係性について明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎的知見としての減荷下での配向性劣化をすでに実証し、インプラント埋入後のひずみ遮蔽下での状態をある程度模擬することに成功した。次年度の実際のインプラント埋入試験に向け、同一素材で異なるヤング率を示すインプラントの試作を終えており、滞りなく計画を遂行していることから、おおむね順調に進展していると自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな研究計画の変更の必要は現状発生してはいない。 次年度は、実際のインプラント埋入下での配向性、骨力学機能劣化の発生の有無とひずみとの関係を理解するべく、種々のヤング率を示す素材にて作製したインプラントを動物骨に埋入する。よりヒトで生じ得る現象に類似させるべく、リモデリング動物を用いた実施を計画している。さらに、配向性変化の機序解析のため、応力状態を反映する可能性のある骨細胞の形態を蛍光を用いてイメージングする。ひずみ遮蔽による配向性低下が回避できないという結論に至る場合、インプラント埋入後に図2右の強制負荷モデルにより人為的に配向性維持に必要な力学刺激を負荷することを検討する。
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Research Products
(3 results)