2016 Fiscal Year Research-status Report
マイクロ単結晶を用いたその場観察破壊・疲労試験法の開発
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16K14423
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
峯 洋二 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (90372755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高島 和希 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (60163193)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 構造・機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
複雑な階層構造において微視組織要素レベルでのき裂進展機構を解明することができれば,破壊・疲労に関する新たな知見を得ることができ,安全・安心な社会の実現に大いに貢献できる.これまでは結晶粒径をサブミリまで粗大化できる材料について,ミニチュアサイズのコンパクトテンション(CT)試験片を用いた検討により一定の成果を挙げてきた.しかし粗大化が困難な階層組織を有する合金のき裂進展挙動の解析には適用できない.試験片厚さを数十ミクロンまで減じたCT試験片を用いたマイクロき裂進展試験技術の確立により,微視組織要素レベルのき裂進展挙動の観察を可能にする.電子線後方散乱回折(EBSD)解析や透過型電子顕微鏡(TEM)観察などの金属組織学的評価と組み合わせることで,力学特性と組織要素を直接関連付けて,き裂進展機構を解明する.平成28年度は,マイクロCT試験片を用いた破壊・疲労き裂進展試験の手法を確立し,その場観察装置を整備した.性能確認のため,き裂進展挙動がわかっている304型オーステナイト系ステンレス鋼を用いて疲労き裂進展試験を実施した.また、オーステナイト鋼の水素脆化で問題となる双晶界面が関与した疲労き裂進展機構について調査した.さらに,き裂進展挙動が未解明の炭素鋼ラスマルテンサイトについて,疲労き裂進展挙動を調査した.Ex-situ 透過型電子顕微鏡(TEM)観察によりき裂先端で発達する変形組織を観察し,結晶学的にき裂進展機構を考察した.これらの成果について、国際会議で7件、国内会議で5件の発表を行った.また,国際学術誌へ2件(印刷中1件,投稿中1件)の論文発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた試験法と観察手法の確立を完了し,オーステナイト鋼の水素脆化の課題について,前倒しで検討を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,微細積層構造をもつTiAl基合金およびナノ双晶オーステナイト系ステンレス鋼についてき裂進展挙動を調査し,き裂進展機構に及ぼす異相境界,双晶境界,粒界の影響について検討する.
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Causes of Carryover |
実験の進捗に伴い,次年度付帯設備の購入が必要となり,その購入予算として合算して使用する.また装置使用料として計上していた予算が地震被害のため使用できなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
付帯設備の購入ならびに国際会議発表のための海外渡航費にあてる.
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Research Products
(16 results)