2016 Fiscal Year Research-status Report
微小ディスク試験片を用いた新しいスモールバルジ疲労試験法の開発
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16K14424
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
駒崎 慎一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (70315646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 修平 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00431528)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 疲労 / 微小サンプル試験 / 液圧バルジ試験 / き裂 / 余寿命評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,微小ディスク試験片を用いた新しい疲労試験法すなわち“スモールバルジ疲労(SBF: Small Bulge Fatigue)試験法”の開発を目的としている.平成28年度は,スモールパンチ試験のようなボール押し込み式では接触(摩擦)に起因した問題が生じるため,液圧バルジ式に変更して,直径8mmの微小ディスク試験片の両面に油圧で交番圧力を負荷できる小型両振り疲労試験装置を新たに設計・試作した.その後,ステンレス鋼SUS316を用いて予備実験を行い,最適な試験片形状を有限要素解析により決定するとともに,き裂検出のための種々の方法について検討した. その結果,平行部直径:1.6mm,平行部板厚:0.15mm,クランプ部長さ:2mm,クランプ部板厚:0.4mm,R部:3mmとすることにより平面側の試験片中央部よりき裂が発生することが予想された.また,負荷圧力12MPaの両振りSBF試験の中断試験とその後の表面観察より,10000サイクル後にき裂が予想していた位置から発生しているのが観察され,今回の解析モデルの妥当性を確認することができた.加えて,き裂検出については,現状ではき裂発生の検出は困難であるが,き裂が大きくなり試験片の一部が脱落すれば圧力低下により破断繰返し数を計測できることが明らかとなった.試験片の状態観察を行うものとしては,ひずみゲージ,レーザー変位計,ボアスコープがある範囲で有効であると思われた.これら方法の可能性を引き続き調べていくとともに,今後は,き裂発生検出のための他の方法の検討並びにき裂進展データ取得によるき裂発生時期の予測検証等を進めていく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり,まずはじめに「室温片振りスモールバルジ疲労試験機」を開発した後,「室温両振りスモールバルジ疲労試験機」の開発に成功した.その後,開発した試験機を用いて予備実験を行い,ステンレス鋼の試験データを取得することができた.加えて,標準の単軸疲労試験や曲げ疲労試験などの従来の疲労試験で得られた結果との対応付けに関する検討にも着手することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,室温データの取得を継続するとともに,「高温両振りスモールバルジ疲労試験機の開発」をスタートさせる.高温での圧力媒体の選定が重要な技術課題となる.700℃といった高温で利用できる作動油がないため,他の圧力媒体を検討する.現時点では“液体金属”,“高温ガス(ヘリウム)”,“アルミナ粉末”などを候補に挙げている.開発後は,高Crフェライト系耐熱鋼とNi基超合金を対象にして試験データを取得し,得られた結果と単軸試験結果との対応を議論する.
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Causes of Carryover |
年度末の疲労試験データ採取の際に必要になると想定していた試験機消耗品の購入が急遽不要となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度分として請求しているものと合わせた助成金は,次年度も継続して行う疲労試験のための物品費(試験機消耗品費等)に充てるとともに,研究打合せや成果発表の旅費として使用する予定である.
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