2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14430
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 茂 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40143028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 成男 茨城大学, 理工学研究科, 教授 (40509056)
小貫 祐介 茨城大学, フロンティア応用原子科学研究センター, 産学官連携助教 (50746998)
藤枝 俊 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60551893)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ析出 / 集合組織 / ステンレス鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しい鉄芯材料として有望な電磁ステンレス鋼の特性を向上させるために、この材料におけるナノ析出と集合組織を制御するための基盤的研究を行った。まず、母相中で析出が起こる合金成分を多元系(Fe-Cr-Ni-Al系)の平衡状態図を基に設計し、(12~15)%Cr-(2~3)%Niを含む鉄合金を作製した。それらに熱間加工等を加え、試験片に成形した後に、各種の時効熱処理等を施した。この合金中のナノ析出による硬化が起こる条件を調べるために、合金を溶体化後に時効処理を施し硬度試験を行った。それらの結果から、825K付近における時効で強度が最大となることを示した。それらの実験とともに、母相中のナノ析出物のサイズ等を小角散乱法により評価し、直径が3~6nmの析出物の形成により強度が著しく上昇することを示した。これらの時効に伴う析出物のナノサイズ変化の結果を、ナノ析出に関する硬度上昇の結果と対比させた。それとともに、合金中の析出硬化挙動等について考察し、一連の研究成果は論文として発表した。さらに、高温(973K、1073K、1173 K)における低ひずみ速度での圧縮変形により、本合金において特定の集合組織(優れた磁気特性をもつ集合組織成分)を発達させるプロセスについても研究を継続している。各試料の集合組織の発達を電子後方散乱回折法により調べ、ある条件の熱処理を加えながら変形すると、<100> 集合組織成分が発達し、<111>成分が減少することなどの予備的な結果を得ている。それらの研究結果は、さらに考察を加えて論文化することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多元系鉄基合金(Fe-(12~15)%Cr-(2~3)%Niの溶解、熱間加工による試験片の作製については、計画通り順調に進んできた。また、時効に伴うナノ析出による硬化が起こる条件の解明、それらの力学的性質に対応した母相中の析出物のサイズの評価等についても、計画通りの成果が得られた。これらの時効に伴うナノサイズの析出物の変化と、析出硬化の過程の結果との対応についても考察した。それらの研究成果は論文化することができ、おおむね順調な進捗が得られたと言える。さらに、高温における低ひずみ速度での圧縮変形による集合組織変化に関する予備的な結果も得られており、それらの進捗も順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、本合金に、高温(973K、1073K、1173 K)において低ひずみ速度(10-4s-1~10-3s-1)での圧縮変形により、特定の集合組織(優れた磁気特性をもつ集合組織成分)を発達させるプロセスに関して、継続的な研究を行う。各処理を施した試料の集合組織の発達は、電子後方散乱回折法による逆極点図の評価や不均一組織の観察により詳細に調べる予定である。特に、<100> 集合組織成分、<111>集合組織成分に着目した解析を行う計画である。可能であれば、それらの研究得られた成果と、磁気特性との関係についても調査する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度では、予定していた実験に用いる比較的小さいの消耗品を十分購入できなかった。次年度においては、それらの実験用消耗品が必要になるため、それらを次年度の最終年度において購入することとした。
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