2016 Fiscal Year Annual Research Report
Hardening and new interpretation of a transition metal nitride having octahedrally coordinated silicon atoms
Project/Area Number |
16K14437
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 常生 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (00313560)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 硬質薄膜 / 高圧相 / 窒化チタン / パルスレーザー堆積法 / 固溶 / ナノコンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
硬質薄膜材料の代表であるTiN薄膜に、第三元素としてSiを添加したTi-Si-N薄膜は、硬度が向上するとして研究が盛んに行われている。高硬度化要因は Siが固溶できないためにナノコンポジット化し、結晶粒径の減少が理由とされている。これは、SiがNに対して4配位の結合をしやすいことと、Ti-Si-N中の結晶相が非常に微細であることからTiN結晶内へのSi固溶が明らかにできないためである。XPSのピークシフトから非晶質相のSiNXの存在およびSi固溶の否定を結論づけている。一方で、超高圧合成法で報告されているスピネル型構造Si3N4における一部のSiは、窒素に対して6配位で結合している。このことから、同じく6配位のTiN中にもSiが固溶できる可能性がある。そこで本研究ではSi添加TiN中のSiの存在形態の解明を目的とした。パルスレーザー堆積法でMgO基板上にエピ成長させた薄膜を作製し、次の知見を得た。TiとSiのターゲット面積比SR (=Si/(Ti+Si)) を0-25%で変化させてSiの添加量を調整した結果、X線回折と電子線回折から、SR=0-15%のTi-Si-N薄膜がエピ成長していた。Siを添加した状態でも薄膜が単結晶ライクで第2相が観察できないことから、SiはTiN結晶内に固溶つまり通常では4配位状態をとるSiが6配位状態で存在していることが示唆された。硬度はSR=10%において、最大で56.9GPaであった。SR=15%のXPSでは、Si-N結合起因の102 eVのピークが得られ、これまでa-SiNXだと思われていたピークと同じ位置であり、固溶状態においても同様のピークを示すということになる。一般のTi-Si-NにおけるXPS結果は、(Ti,Si)N中のSi-N結合起因のピークという解釈が妥当だと考えられる。
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Research Products
(4 results)