2016 Fiscal Year Research-status Report
レーザ誘起プラズマ分光法を用いたリチウムイオン電池材料の定量分析法の確立と応用
Project/Area Number |
16K14444
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今宿 晋 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (40606620)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザ誘起プラズマ分光法 / リチウムイオン電池 / リチウム元素マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
リチウムイオン電池は小型携帯機器に広く普及しており、近年では自動車用などのより幅広い用途への展開に向けて大型化や長寿命化を目指し研究が行われている。リチウムイオン電池は電極反応が不均一に起こるという問題があり、電池の性能を左右する要因となっている。本研究では、電極反応の分布を測定する従来のX線吸収分光法に代わる方法として、レーザ誘起プラズマ分光法(LIBS)に着目し、リチウムイオン電池内のリチウム元素の分布をLIBS 法により定量的に測定する手法の確立を目指した。LIBS法は従来の方法と異なり、大型放射光施設で測定する必要がなく、研究室で測定が可能である上、短時間で測定を終えることができるという特長をもつ。 大気中でLIBS測定を行ったところ、リチウムが高濃度になると発光強度が飽和して、発光強度からリチウム濃度を算出することはできなかったが、1000Paのアルゴン雰囲気で測定を行うとリチウム濃度の増加に伴い、発光強度が増加して、発光強度からリチウム濃度を算出することができた。この測定条件で、リチウムイオン電池正極(LiCoO2)におけるリチウムの分布を測定し、同じ試料をX線吸収分光法により測定したコバルトの価数(3価or4価)の分布と比較したところ、コバルトの価数の分布に対応したリチウムの分布が得られた。この結果から、1000Paのアルゴン雰囲気でLIBS測定することでリチウムイオン電池正極のリチウム元素の分布を得られることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LIBS測定の際のリチウム発光強度のばらつきを抑える方法を見出し、リチウム電池材料のリチウムの定量分析手法の確立するという平成28年度の目標を達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究で得られた知見を基に、リチウム電池材料の深さ方向のリチウム元素マッピング手法を確立する。これまでは正極材料についてのみ研究を行っていたが、負極材料および電解質材料についてもLIBS法によるリチウム元素の3次元マッピング手法を確立させる。 また、ナトリウムイオン電池およびマグネシウムイオン電池材料についてもリチウムイオン電池の場合と同様に、LIBS 法による分析手法を確立させる。
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Causes of Carryover |
水素発生装置などの購入費が当初の予定価格より大幅に低い価格で購入することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
LIBS測定に必要な分光器、レーザーおよびその周辺機器の購入をする。また、測定試料作製に必要な電気炉、試薬などの購入にも充てる。
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Research Products
(2 results)