2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K14445
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川西 咲子 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80726985)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シリコンカーバイド / 溶液成長 / In-situ観察 / クロム溶媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
100%クロム溶媒を用いた4H-SiCの低温高速溶液成長の実現に向け、平成28年度は以下の成果を得た。 ・溶液成長界面のIn-situ観察 溶液成長界面の安定性の評価に向け、始めに倒立顕微鏡を用いた観察系および抵抗加熱炉による加熱系により構成される成長界面のIn-situ観察システムを構築した。これを用いてクロムをSiC基板上で保持し1600℃まで加熱することにより、SiC-溶融合金界面の観察が可能であることを確認した。今後、過飽和量および過飽和度が成長界面の安定性に及ぼす影響を定量的に評価する。 ・低温高速溶液成長の試み 低温高速成長の実現に向け、種結晶の回転および上下動機構を有するフランジを新規に作製し、高周波誘導加熱炉を用いた結晶育成システムを構築した。さらに、これを用いてCrを主成分とする溶媒を用いた溶液成長を実施した。成長開始前にメルトバックを行わない場合には、異種多形の混在が確認されたが、メルトバックを実施した場合には、結晶多形が4Hに維持された。また、1600℃以下の低温においても1mm/hの成長速度が得られることが明らかになった。さらに、低温にて育成した結晶中のクロム濃度を測定した結果、既報と比較しクロム濃度を1/10程度に抑制できることがわかり、100%クロム溶媒による低温溶液成長が不純物低減においても有効であることを見出した。今後、過飽和量および過飽和度が成長結晶に及ぼす影響を定量的に評価し、長時間の連続成長により厚膜成長を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶液成長界面のIn-situ観察に関しては、観察システムの構築および試験加熱を実施したが、当初予定していた界面安定性の評価には至っていない。一方、高周波誘導加熱炉を用いた溶液成長に関しては、当初の計画での育成システムの構築に加え、低温高速成長の実証および不純物評価まで行っており、計画以上の進捗がある。
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Strategy for Future Research Activity |
・SiCの溶液成長界面のIn-situ観察 Cr-Si溶媒組成が溶液成長界面の安定性に及ぼす影響を定量的に評価し、過飽和量および過飽和度との関係を明らかにする。 ・100%クロム溶媒を用いた高速連続成長 過飽和量および過飽和度が成長速度に及ぼす影響を調査し、成長カイネティクスを解明する。さらに、低温高速成長による厚膜育成を目指す。
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Causes of Carryover |
実験の遂行の過程で、種結晶等の消耗品や育成結晶の分析費用に関して、当初予定以上に次年度に必要な経費が見込まれたため、消耗品での出費を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
従来品より高品質の種結晶の購入や、育成結晶中の不純物濃度の分析費用等に使用に充当する予定である。
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