2016 Fiscal Year Research-status Report
Ultra fine bubble formation by electrochemical method and its application to aqueous metallurgy
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16K14450
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇田 哲也 京都大学, 工学研究科, 教授 (80312651)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウルトラファインバブル / 反応高速化 / 製錬反応 / 湿式プロセス / 酸化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
湿式製錬の反応では、気体と液体の反応が遅い場合があり、これが全体のプロセスを律速していることが少なからずある。本研究では、近年注目を浴びているウルトラファインバブルの製錬反応への応用を試み、液体と気体の反応速度を改善する試みを行う。具体的には、微細な表面構造を持つ電極に機械運動を施し、電気化学的手法により酸素のウルトラファインバブル水溶液の合成し、ついで、2価の鉄イオンの酸素酸化反応でその効果を確認する。 今年度は白金電極に揺動運動を与え、酸素と水素のウルトラファインバブルの生成実験を行った。具体的には、室温、pH=0の硫酸溶液に500mA/cm2の電流密度で水の電気分解を行った。白金電極もしくは高比表面積のNi電極を用いて、この電極をジグソーと接続し毎分900周期の揺動運動を与えた場合と、与えていない場合の比較を行った。今回の実験では、用いた水に固形の微粒子が混入しており、実験結果はブランク溶液との差分で行わざるを得なかったが、揺動運動を与えた場合には、微粒子も含めたバブルの平均粒径が、揺動運動を行っていない場合が90nm(水素)、93nm(酸素)、95nm(水素)であったのに対し、揺動運動を行った場合には60nm(酸素)、87nm(水素)、66nm(水素)と減少傾向が認められた。また、微粒子個数も、ブランク溶液と比較して、+0.2(酸素)、+0.8(水素)、+4.9(水素)億個/cc程度の増加が認められた。特に高比表面積のNi電極を用いた場合には、+4.9億個/cc程度の増加であった。ただし、これらのデータは傾向的には、揺動運動がウルトラファインバブルの増加に効果があることを示唆するもののデータ点数も少なく、ウルトラファインバブルと元々水に含まれていた微粒子との区別が明確ではない。今後、再現性の確立が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室ではこれまで経験のないウルトラファインバブルの生成実験に取り組み、ウルトラファインバブルの個数と大きさの分析評価までの一連の実験を行うことができた。また、生成方法も揺動運動を伴った水の電解方法であり結果の再現性を行う必要があるもののユニークなウルトラファインバブルの生成法にアプローチできる可能性があることが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
毎分900周期以上の揺動運動を与えた場合には、大きな振動が生じ、今回用いたセットアップでは剛性の点で難があることが判明した。次年度はセットアップを再構築する予定である。また、Ni電極では、カソードに電圧を印加した状態で浸漬を行ったが、Niの溶出防止は不完全であるような挙動が確認された。このことが原因で、、+4.9億個/ccとなった可能性もあり、現在はこの結果の再現性が必要と考えている。具体的には、白金を用いて高比表面積の電極で揺動運動を行い、再現性の確立を目指す。さらには、市販の酸素のウルトラファインバブルの水を利用し、2価鉄の酸化速度の実験を行う。
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Causes of Carryover |
装置の改造が必要となり、予定していた実験を次年度に持ち越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
装置の改造費ならびにウルトラファインバブルの分析費とする予定。
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