2016 Fiscal Year Research-status Report
発光ナノカーボンを用いた環境低負荷型ポリプロピレン系ブレンド材料の長寿命化
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16K14456
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新田 晃平 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (70260560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比江嶋 祐介 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (10415789)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高分子材料物性 / 光劣化 / ナノカーボン / コンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
イソタクチックポリプロピレン(iPP)をベース樹脂として、軟質のポリプロピレンカーボネート(PPC)を少量添加し、混練によりブレンド材を調製した。PPCはiPP内部にマイクロメートル程度のドメイン構造を形成するが、その界面は変形下においても剥離せず、材料のじん性が向上した。このことは、軟質樹脂のPPCドメインが、iPPにおいて材料の破壊の引き金となるボイド生成を抑制しているためと考えられる。マイクロ波熱分解法により、クエン酸とエチレンジアミンを原料として、発光ナノカーボン(CDs)を合成した。CDs溶液を熱アセトンに溶解したPPCに添加してキャストすることで、CDsをドープしたPPCシート試料を得た。この試料をiPPと混練することで、CDsをドープしたiPP試料の調製に成功した。この試料を溶融プレスによりシート状に成膜し、ダンベル状の型で打ち抜くことで試験片を作成した。この試験片の一軸引張試験を行ったところ、降伏応力や降伏エネルギーが増大し、、高速延伸下においては破断エネルギーも増大するなど、ベース樹脂のiPPと比較して力学物性が改善することが分かった。このことは、ナノ粒子であるCDsがフィラーとして機能していることを示唆している。さらに、CDsをドープしたiPP試料に対して紫外光曝露試験を行ったところ、光劣化が大幅に抑制されることが分かった。CDsは350 nm付近の紫外域に強い吸収バンドを有することから、CDsが紫外線吸収材として機能するために、iPPの耐光性が向上することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定通りに試料調製に成功し、耐光性の付与にも成功している。また、これらの成果は国際会議の招待講演を含む学会にて発表しており、現在論文として投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
ベース樹脂のiPPおよびCDsをドープしたブレンド材料における光劣化および熱劣化に関して、時間、温度、組成等の影響について検討を行い、材料の劣化機構を明らかにする予定である。
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