2017 Fiscal Year Research-status Report
発光ナノカーボンを用いた環境低負荷型ポリプロピレン系ブレンド材料の長寿命化
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16K14456
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新田 晃平 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (70260560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比江嶋 祐介 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (10415789)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光劣化 / イソタクチックポリプロピレン / 発光ナノカーボン / コンポジット |
Outline of Annual Research Achievements |
添加剤をあらかじめ除去したイソタクチックポリプロピレン(iPP)をベース樹脂として、軟質のポリプロピレンカーボネート(PPC)をバインダーとして、発光ナノカーボン(CDs)を少量添加したブレンド材料を調製し、紫外線曝露試験を行った。ベース樹脂である添加剤フリーのiPPは、20時間程度の紫外線曝露によりぜい化するが、CDsを600 ppm程度添加したブレンド材料は、40時間程度まで破断エネルギーが低下しないことが分かった。また、iPPの分子量の低下も抑制されていることから、CDs添加による光安定化効果が確認された。さらに、紫外線曝露試験後のCDsの吸収スペクトルにおいては、曝露時間の増大にともなって、350 nm付近の紫外域の吸収が著しく減少した。このことは、紫外線照射によりCDsの一部が反応して、別の化学種に変換したと考えられる。この350 nmの吸収バンドの低下にともなって、紫外光下におけるブレンド材料の発光強度は著しく低下することが分かった。発光強度の低下は、材料強度の低下に先んじて顕著になることから、CDsによる劣化状態の可視化および予防的診断が可能であることが示唆された。 CDs合成に関しては、新たに流通式管型反応器を作製し、CDsの連続合成を行った。反応温度および滞留時間に依存して、CDsの光学的特性は変化するものの、粒子サイズはほとんど変化しないことが分かった。また、化学構造が顕著に変化していることから、脱水反応などにより粒子内の化学構造が変化することがCDsの光学的特性に重要であることが分かった。また、発光効率を表す量子収率を、反応温度および滞留時間を用いて制御することで、最大60%程度の量子収率をもつCDsを1時間あたり数 g程度の生産効率で連続合成することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ナノカーボン合成法およびコンポジット化の手法はおおよそ確立されており、機構解明にも着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
耐光性のさらなる向上を目指して、ベース樹脂であるiPPの劣化機構の解明を進めるとともに、光劣化防止の際にCDsの果たす役割を明らかにする。
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Research Products
(9 results)