2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K14472
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
荻野 博康 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80233443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 昌弘 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40264808)
山田 亮祐 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40608626)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超臨界 / 二酸化炭素 / タンパク質 / プラスチック / 固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
種々の高分子化合物から製造されるプラスチックは安価で耐久性が高く、成形が容易であることから、様々な製品の材料として用いられている。一方、プラスチックは耐久性が高いため、プラスチック表面に耐久性の低いタンパク質を強固に固定化することが困難である。本研究では、超臨界二酸化炭素を用い、プラスチックを膨張、タンパク質や酵素の溶解性を向上させ、プラスチック表面にタンパク質を強固に固定化する新規手法を開発することを目的としている。 本年度、得られた成果は以下の通りである。 モデルタンパク質として牛血清アルブミン(BSA)を用い、超臨界二酸化炭素中で24時間保温した場合の牛血清アルブミンのCDスペクトルを円二色性分散計を用いて測定した。40℃、8 MPaで24時間保温しても牛血清アルブミンは変性しないことがわかった。また、30、40、50℃、8、10、15 MPaのいずれの条件でも超臨界二酸化炭素中では牛血清アルブミンは変性しなかった。 また、プラスチックとしては、耐久性が高く、安価で、容易に入手できるポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリ塩化ビニルを用い、牛血清アルブミン水溶液に種々のプラスチック片を浸し、種々の条件の超臨界二酸化炭素中で保温した場合の牛血清アルブミンの固定化量を測定した。ポリエチレンへの固定化では圧力が高くなるにつれて固定化量が増加したが、ポリプロピレンでは、圧力が低い方が固定化量が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超臨界処理によるタンパク質の変性を測定し、タンパク質を種々のプラスチックに固定化する条件を検討した。また、タンパク質溶液に種々のプラスチック片を浸し、超臨界二酸化炭素中で保温することにより、種々のプラスチックへのタンパク質の固定化に成功し、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質や酵素の溶解性の向上、浸透性の向上、およびプラスチック膨潤促進を目的として、タンパク質あるいは酵素溶解する溶液に種々の塩や有機溶媒を添加、あるいは種々のpHの溶液を用い、プラスチックへの固定化の影響を検討する。また、添加した塩や有機溶媒、あるいはpHによるプラスチックの劣化や変性についても検討する。 また、プラスチックに吸着するペプチドタグを付与したタンパク質を作製するとともに、ペプチドタグを付与したタンパク質を種々のプラスチックに固定化することにより、方向性を制御したタンパク質のプラスチックへの固定化を検討する。
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Causes of Carryover |
分析の一部を実験補助いただき、謝金で支払う予定で謝金枠を確保していたが、予定より早く分析が終わり、3月の謝金を支払う必要がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、物品費として使用する予定である。
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