2016 Fiscal Year Research-status Report
隣接水酸基同時除去による糖類からのジデオキシ糖の触媒的合成
Project/Area Number |
16K14473
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
冨重 圭一 東北大学, 工学研究科, 教授 (50262051)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 固体触媒 / 糖類 / バイオマス / 脱酸素脱水反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖類と水素の反応により、ジデオキシ糖(2つのC-OHをC-Hへと脱酸素されたもの)を選択的に与える固体触媒反応システムの開発を目的とする。糖類は、その分子中に数多くの水酸基(C-OH)を持っており、そのため、糖類を還元し、デオキシ糖を選択的に得るには、非常に精度の高い官能基認識能が必要となり、通常酵素反応が用いられてきている。これに対して、本研究は、最も安価な水素を還元剤として用いることを可能とすると同時に、酵素に置き換わるポテンシャルを持つ固体触媒の開発を目指す。固体触媒と還元剤としてを用いることが可能になれば、生成物と触媒の分離の簡便性、十分な耐熱性を活かしたより高温反応による劇的な反応速度向上、原子効率の高い触媒変換などにつながることも期待される。本年度は、ReOx-Pd/CeO2 を固体触媒として用い、様々なメチルグリコシドを基質として触媒反応を行ったところ、隣接してシス位に位置する水酸基二つを同時に除去できることを示した。生成物はほとんどが市販されてないものであるため、生成物の単離や単離された生成物の構造解析などについても行った。例えば、メチル α-D-マンノピラノシドを基質として用いた場合に、反応条件の最適化を行った結果として、ガスクロマトグラフから求めた収率で96%、単離収率で91%という高い収率で目的生成物が得られることを示した。触媒の反応前後の構造解析や触媒再使用性の検討などについて今後行っていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の実施予定の研究が順調に行えたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
ReOx-Pd/CeO2 の有効性について前年度で示すことができ。触媒については、さらに担体(ZrO2, Al2O3, SiO2, TiO2等)の依存性、Reの担持量の依存性、添加金属の依存性(Pd, Pt, Rh, Ru, Au等)を検討し、性能決定している因子についての知見を得たいと考えている。前年度の結果も踏まえて、最も優れた触媒について反応条件をさらに最適化しながら触媒性能評価を行う。反応前後の触媒の構造解析(XRD, BET, Raman, FTIR, EXAFS, XANES, XPS, 吸着量測定等)を行い、活性点となっていることが想定されているRe種の構造、担体との相互作用に着目してキャラクタリゼーションを行う。また、触媒の再利用性を評価する。触媒反応機構については、反応速度の水素分圧依存性と基質濃度依存性を測定し、反応次数をえて、その結果に基づいて速度論解析を行う。また、基質と触媒表面の相互作用についても検討する。
|
Research Products
(1 results)