2016 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素によるポリエーテルの新規解重合反応を開拓する層状ケイ酸塩触媒の開発
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16K14480
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前野 禅 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (30721154)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 解重合反応 / ポリマー廃棄物 / 二酸化炭素 / 固体触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題では、枯渇性資源に依存しない触媒反応プロセスの開発として、二酸化炭素など有効利用が望まれる化合物を試剤を用いたポリエーテルの解重合反応による高付加価値化合物合成を開拓する固体触媒を開発することを目的とする。 平成28年度は、これまでに申請者が見出していた層状ケイ酸塩触媒によるカルボン酸塩化物を用いた解重合反応における知見に基づき、より入手と取り扱いが容易な試剤を用いたポリエーテルの触媒的解重合反応の開発に取り組み、2つの反応を見出した。プロトン交換型モンモリロナイト触媒が、カルボン酸無水物あるいはカルボン酸を試剤に用いたポリエーテルの解重合反応を効率よく進行させることを見出し、様々な対称及び非対称グリコールジエステルを合成することに成功した。また、金属カチオン交換型モンモリロナイト触媒を用いると、芳香族化合物とポリエーテルからテトラリン誘導体を合成できることも見出した。 さらには、モンモリロナイト触媒の特性を駆使したポリエーテル廃棄物の解重合システムの開発へ展開した。モンモリロナイト触媒のインターカレーション能を利用することで水溶液中に加えるだけでポリエーテル系界面活性剤を吸着により回収し(回収率99%)、上記触媒能を利用して解重合反応により有用化成品へと変換できた。この回収・解重合システムは、資源有効利用のみならず環境浄化にもつながる研究と言える。これらの成果は、論文投稿や国内外での国際学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、プロトン交換型モンモリロナイト触媒を用いれば、カルボン酸だけを用いてもポリエーテルの解重合反応が進行するという知見が得られた。また、上記の解重合にはバイオマス由来のモノカルボン酸やジカルボン酸を試剤として用いることができる。当初の計画通り、非枯渇性資源由来の化合物を用いたポリエーテルの解重合反応による有用化成品合成に成功した。従って、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の知見に基づき、金属カチオン交換型層状固体触媒を用いて二酸化炭素を試剤とするポリエーテルの解重合反応に取り組む。核種の層状粘土化合物・ケイ酸塩に種々の金属種を固定化することで、二酸化炭素によるエーテル結合切断に活性を示す金属中心を層間に設計した固体触媒の開発を試みる。これにより、ポリエーテルのモノマーユニットと二酸化炭素を原料とする有用化成品合成ルートの開拓を目指す。
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Causes of Carryover |
効率的な使用により若干の残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の通り研究を遂行しながら、物品費あるいは旅費として上記残額を使用する計画である。
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Research Products
(26 results)