2016 Fiscal Year Research-status Report
生体膜構造制御タンパク質を利用した感染能を指標としたウイルスセンシング
Project/Area Number |
16K14488
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 祐圭 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (60533958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河内 美奈 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70313301)
早水 裕平 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80443216)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペプチド / 金ナノ粒子 / ウイルスセンサ / 生体膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開発では、細胞への侵入などのウイルスが持つ機能を検出することで、既存の偽陽性検出の問題を解決し、確実性の高いウイルスセンサを開発することを目的としている。本年度は、導電性材料表面に細胞膜を模倣した生体膜を安定的に配置するために、センサ素子認識ペプチド、生体膜認識ペプチド、ウイルス認識ペプチドの探索を実施した。それぞれの対象について、候補ペプチドを取得し、特に導電性材料として期待している金ナノ材料に対する認識ペプチドの探索に関しては、金ナノ材料に対して結合性を示すペプチド中に存在するアミノ酸を参考に、ペプチド配列の改良を加えることで、数百種類の金ナノ粒子結合性ペプチドを同定できた。また、本研究開発を進める過程で、得られた金ナノ粒子結合性ペプチドライブラリーの中から金イオンを還元する二機能性ペプチド(金ナノ粒子結合能、金イオン還元能)を同定することができた。この二機能性ペプチドを探索できる方法は、今後、金ナノ粒子合成を触媒するペプチドの効率的な探索技術として提案できる可能性があり、研究計画段階では予想できなかった研究成果を得ることができた。本内容についても、次年度以降継続的に研究開発を進める予定である。また、次年度については、本年度に同定したセンサ素子認識ペプチド、生体膜認識ペプチド、ウイルス認識ペプチドを統合的に利用し、センサ素子表面に安定に生体膜を配置した電気化学的なウイルスセンサの開発を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請段階での研究計画で示した項目に従い研究開発を実施し、各項目について概ね順調に成果が挙げられている。特に研究項目の一つである導電性素子表面への生体膜の安定的な配置に向けた生体膜や導電性材料を認識するペプチド配列を同定できたことから、次年度はこれを統合的に利用することで、以降のセンサ開発を中心とした研究項目を適切に推進できると考えられる。また、本研究を実施する中で、研究計画内では予想できなかった金イオンを還元する反応を触媒するペプチドを同定することができた。これは温和な条件でのナノ材料合成技術へと展開できる可能性があり、今後の研究の発展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度である今年度中に、細胞膜を模倣した生体膜を素子表面に配置することに必要な認識分子を適切に同定できたことから、次年度はこれらを統合的に利用し、当初の予定通り、センサの開発を進める。また、本研究開発で新たに見つかった二機能性ペプチド配列やその探索手法については、今後の発展性が期待されることから、当初予定した内容とは異なるが、並行して研究開発を進める。
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Causes of Carryover |
国際学会への参加を見送ったため。次年度に追加で参加予定。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初の計画に従い予算を使用することに加えて、国際学会に一件追加で参加する。
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Research Products
(4 results)