2016 Fiscal Year Annual Research Report
Single cell-encapsulation in hydrogels triggered by cellular respiration
Project/Area Number |
16K14490
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境 慎司 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20359938)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生体材料 / 生物化学工学 / 細胞包括 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞を1個ずつ個別にヒドロゲル皮膜の中に包括することができれば、1細胞レベルでの機能解析や分化シグナル付与、1細胞毎の機械的マニュピュレーション、非自己細胞の血管からの移植等の用途において有用となると期待される。そこで、本研究では、細胞が「呼吸」に伴う副生物として産生する微量の過酸化水素を利用し、高分子とその高分子からのヒドロゲル形成反応を触媒する酵素などを含む1つの溶液に浸すだけで細胞をヒドロゲル皮膜で1個ずつ別々に包括できる方法の創出に取り組んだ。ヒドロゲルの形成に使用した反応は、過酸化水素の存在下で西洋わさび由来ペルオキシダーゼが触媒する、フェノール性水酸基間の架橋形成反応であり、フェノール性水酸基を導入したアルギン酸誘導体を用いた。予備的検討では、西洋わさび由来ペルオキシダーゼとアルギン酸誘導体を溶解した水溶液に浸すだけでは、10%以下の細胞しかゲル皮膜に包括されることはなかった。これに対して、細胞膜に蛋白質などをアンカリングする際に使用されるオレイル基を有する細胞膜修飾剤を細胞膜に固定化したところ、その値は20%以上に向上した。さらに、溶液への浸漬時間や細胞膜修飾剤に西洋わさび由来ペルオキシダーゼを固定化することにより、最終的には98%の包括率を達成することができた。さらに、細胞膜修飾剤を使った呼吸活性の促進は、マウス線維芽細胞だけでなくヒト肝がん由来細胞やヒトさい帯静脈内皮細胞などその他の細胞においても有効であった。以上より、細胞の「呼吸」を利用して、細胞を1個ずつ個別にヒドロゲル皮膜の中に包括する技術の開発に成功した。
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